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その日から私は、一緒に帰らない、家には行かない。このふたつを徹底することにした。
身体から始まった関係。
今更こんなことしたって無駄だってわかってるけど、好きな人と身体を重ねるのに向こうが私を好きじゃないなんて、それ以上に苦しいことなんてないから。
だって、家に行ったら向こうはその気がなくても私はきっともっともっと中島さんが欲しくなる。だからそうならないように最善を尽くした。
ちゃんとした恋をするために。
でも最近、中島さんの様子がおかしい気がする。
前よりぼーっとしていることが多くなってるって言うか、女性陣は"うっとりしてるところも素敵♡"なんて言ってたな。呑気なものだ。
中島さん、大丈夫かな。
力になりたいけど、私なんかに何が出来るんだろう。
何も出来ないかもしれないけど、帰り道で出会ったら話しかけてみようかな。
…と、思ったんだけど。
私は見てしまった。
会社を出て、帰り道を歩いている時だった。
私なんかよりも遥かに綺麗で大人な人と、腕を組んで歩いていた。
…ああ、彼女かな。それとも、そういう関係の人?
何にせよ私にはもう出来ることはないんだと思う。
言ってしまえば失恋のようなもの。
でも、その姿を見ても嫌いになれる訳がなくて。
この気持ちは次好きな人ができるまでそっと胸の奥にしまっておくことにした。
初めて自分の意志で人を好きになったんだ。
宝物みたいに、大事にしよう。
そう心に誓った。
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ゆい(プロフ) - 面白かったです!途中腕を組んでたのはそうゆう関係の人だったんでしょうか?いつから気になってたのか中島さん目線も知りたいです(๑>◡<๑) (2022年8月17日 4時) (レス) @page22 id: 69bd512447 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りる | 作成日時:2022年5月15日 14時