． ページ8
私のことを放置したせいで顔に穴があきそうな彼は、
トートバッグから1冊の絵本を出して私に差し出した。
『これは、、』
「…暇になると思って」
『わざわざ家から……?』
表紙には大きく“〇ォーリーを探せ”とかいてある。
子供の時持ってたなぁ、この絵本。と懐かしむのと同時に、
これを差し出されている私って。と涙が出そうだ。
松村くんの中の私はつまりここで止まってるのか。
「ほら、やるよ」
『え、一緒にやるの?』
「1人が良かった?」
『……いいえ、お願いしたいです』
なんだか不服な部分は多いが、
暇を潰せるという点でかなりカバー出来ているので大人しく松村くんと、
〇ォーリーを探すことにした。
本をテーブルの上に置いて開けば、絵が細かくぎっしり描かれている。
コンタクトをしているものの、細かいものは苦手なもので、かなり目を近づけてやっとだ。
「栗原さんって目悪いんだ」
『コンタクトしてるけどね』
「外したらなんも見えない?」
『なんだろ、涙で滲んでる感じ?』
「…結構見えてないね」
『松村くんもコンタクトだよね?』
2人であの赤いボーダーTの彼を探しながら、そんな雑談を交わしていく。
もちろん図書館だから小声だ。
お互いの話をするのは初めて、だからかなり初歩的な話も面白い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 433人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
YUUKI(プロフ) - お話が終盤に向かっていくに連れて涙腺がゆるゆるになって最終的にガチ泣きしました。凄く切なくて、めちゃくちゃ面白かったです!! (8月3日 0時) (
レス) @page39 id: 856434f156 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - ずっとずっとお話の更新も楽しみで、大好きなんですけど、切なすぎて寂しいけれど、北斗の台詞が題名に繋がるところ、本当に素敵すぎます！ 兎に角好きでしかないですっ！ (7月5日 17時) (レス) @page36 id: 7c710f6426 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみん(プロフ) - 切なすぎます……… (6月22日 12時) (レス) @page28 id: ff33edc1a1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ﾅﾅ | 作成日時：2023年5月27日 14時
