10話 ページ29
あの夏から、色の抜けた日々を何年か過ごして
いつしか彼女のことを思い出し、悔やむことも無くなった頃のこと
2つの悲しい話が耳に入った。
1つ目は、図書館が閉館してしまうということだ。
結局、彼女は夏休み中に帰ってくることはなくて
その年の終わりだったと思う。
彼女が大学を辞めた、と聞いたのは。
その話は彼女の友人でさえ知らなかったらしい。
なんで辞めたかわかる?なんて、聞かれて
分かる訳もなくて。
彼女から悩みを聞いたことがあっただろうか。
少し落ち込んだ表情をしてる姿を見た時、
寂しそうな顔をした時、
あんなに一緒にいたのに、あんなに彼女はお喋りだったはずなのに
やっぱり俺は何も知らない。
彼女が最後に言った、大好きという言葉が
しばらく俺を苦しめていたがそれももう昔話で。
あの時、本当にお別れを告げに来たのだなと
今なら納得してあげられる。
広くとられたキッズスペース、
男性でもギリギリ届くか分からないくらいの高い本棚、
勉強が出来るテーブル、
カウンター、
お別れをしにやってきたここは何も変わらないように思えた。
目を閉じれば、静かな図書館でコソコソ笑い合う2人の男女の声がする。
一緒に本を読んだり、くだらない話をしたりした。
たまに彼女が本に夢中なのが嬉しくて
だけどそういう時俺は話したくて、
たくさん話しかければせっかく読んでたのにって本を閉じる。
反対に俺が本に夢中なとき、
Aは気をつかってあんまり話しかけてこなくて
長い間そのままだと拗ねてしまう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 433人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
YUUKI(プロフ) - お話が終盤に向かっていくに連れて涙腺がゆるゆるになって最終的にガチ泣きしました。凄く切なくて、めちゃくちゃ面白かったです!! (8月3日 0時) (
レス) @page39 id: 856434f156 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - ずっとずっとお話の更新も楽しみで、大好きなんですけど、切なすぎて寂しいけれど、北斗の台詞が題名に繋がるところ、本当に素敵すぎます！ 兎に角好きでしかないですっ！ (7月5日 17時) (レス) @page36 id: 7c710f6426 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみん(プロフ) - 切なすぎます……… (6月22日 12時) (レス) @page28 id: ff33edc1a1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ﾅﾅ | 作成日時：2023年5月27日 14時
