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A:…でも…。どうするかも決めてないのに、心配してほしくない…。
結衣:雄也さんは、Aの心配をしてはいけないの?
A:迷惑かけたくない…。大切な試合が続いているから、試合に集中して欲しい…。
結衣:だからっ、そんなの迷惑じゃないの!
たとえば今、雄也さんがケガをしていて、それをAに隠しているとしたら、どう思う?
A:今は何もできないけれど…隠して欲しくない。
隠し事はしないって、ゆうやさんは約束してくれた…。春のケガの時も、球団の人以外では私に教えたのが最初だって…。
結衣:Aがしようとしている事は、立派な隠し事よ。隠し事はしないって、雄也さんと約束したんでしょう?貴女がその約束を破って、雄也さんは悲しまないの?
A:…でも…迷惑だよ…。
結衣:雄也さんは、春に怪我をした時、その事をいちばんにAに伝えたんでしょう?だったらAも、雄也さんにいちばんに伝えないとダメ。私がはるくんに伝えて、はるくんが雄也さんに伝えて。その時に雄也さんが初めて知るのはダメな事よ。
明日の夜まで、私ははるくんに伝えないわ。明日まで、雄也さんはナイトゲーム。ここでの16時には起きているはずよ。
A、一晩きちんと考えて。明日、雄也さんに絶対電話すること。いい、わかったわね。
…お母さん、託児も時間になるから、あきら連れて戻るわ。Aのこと、お願いね。
お姉ちゃんが部屋から出ると、お母さんと2人きりになる。部屋を出る前のお姉ちゃんは、久しぶりに怖かった。
母:結衣とA、真逆の考えね。今回は結衣が正しいと、お母さんは思うわ。
A:…どうして…?
母:薬の副作用で起こる最悪の結果が、心の死を意味するからよ。Aがいなくなる可能性を言われているのに、それを黙っている。そんな大きな事を隠してはダメ。夫婦の絆も壊れてしまうわ。
そんな大切な事を相談できないの?Aにとって雄也くんは、その程度の存在なの?
A:今は大事な試合ばかりなのに…。私の事を考えるのは…迷惑だよ…。
母:副作用が筋力低下だけならば、リハビリをすれば回復する。その場合お母さんは、Aの考えに賛成したと思うわ。でも、今回は貴女の生死がかかっている。0.01%、小さな確率だけどね。
Aが言わなくても、結衣が伝える。お母さんは、結衣を止めないわ。
A:…でも…。
母:Aが雄也くんに伝える、それも必要な事よ。
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作者名:梨瑠(Riru) | 作成日時:2018年9月16日 4時