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Aの声を…電話を通した機械的な音だけど…聴けて、本当に元気が出てきた。
朝ごはんを軽く食べてから、僕は札幌ドームに向かった。


F64:おはようございます!


僕がロッカールームに入る時、元気よく挨拶したからか、みんなびっくりした顔で僕を見る。
…そんなに昨日までの僕は、どんよりとしていたのだろうか…と不安になる。


F7:はよ。…決めたのか?

F64:まだ。『あきくんにデレデレしてると、お姉ちゃん拗ねるよ』って、Aから伝言。

F7:Aちゃんと通話したん?それでその表情か…納得。

F64:今日、Aの誕生日だから。向こうもこっちも15日になるタイミングでは通話できないから、Aにはフライングだったけれど、仕方がないかな。

F7:俺も、明日の朝通話するかな…。

F64:ヒーロー楽しみ、とも言ってた。勝った試合のヒーローだけ、radikoで聴いてるって。
 流石にリアルタイムじゃないらしいが…。

F7:そうなん?ますます責任重大。…プロポーズ記念日でもあるし、今日決めたいなぁ…。


ロッカールームでグータッチをして、お互いの健闘を祈る。グラウンドでは仲間だけど、ライバルでもある僕と遥輝。僕も遥輝には負けられないと、気合いを入れた。今日ヒーローになりたいのは、僕も同じだから。


試合は勝利して、僕と遥輝は今シーズン初めて、一緒にお立ち台に上がった。
遥輝は5打席で3安打2四球と全打席で出塁。おまけに1試合3盗塁、3年連続の盗塁王を目指して、2位以下との差を引き離してきた。
僕は5打数2安打だったが、2点タイムリー2塁打と、2ランホームランで、今日チームがあげた得点の半分以上を演出したのが決め手になった…らしい。


まずは遥輝がヒーローインタビューを受ける。ある程度終わった所で、マイクをアナウンサーから借りて、報告を始めた。


F7:私事ですが、先日子どもが生まれました。元気な男の子でした!
 札幌ドームでヒーローに立ち、ファンの皆様に最初に報告したいと考えて。今日まで報道関係にも告げず、申し訳ありませんでした。守らなければならない息子が増えて、野球に取り組む決意を改めてしました。


(スタンドから拍手。応援団のトランペットで Happy birthday の曲が演奏される)


F7:ありがとうございます。
 僕たちは、優勝を諦めていません。残り少なくなったレギュラーシーズン、CS、そして日本シリーズ。さらなる応援を、よろしくお願いします!
 

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作者名:梨瑠(Riru) | 作成日時:2018年9月16日 4時

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