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栗山：Aさんも。雄也と離れる事だけが、アメリカでの入院をためらう理由ではないとは思いますが。それでも、僕が監督として、雄也にできる事はします。雄也の事で、僕にもわがままを言ってください。雄也に直接言えない事でも、遥輝経由で僕に伝えてくれてもいい。
ファイターズは、選手もその家族も全員、チームの家族です。ファイターズを巣立った翔平も、みんな家族だから。
雄也も遥輝も、もっとまわりを頼りなさい。こんな大きな事、2人だけで抱えるな。
F64＆F7：はい…。
栗山：Aさん。貴女がソフトで活躍して、もう10年も経つんですね。あの時の貴女は本当に強く輝いていた。どうかその輝きを取り戻すお手伝いを、僕にもさせてください。
A：…栗山監督。…監督が望んでくださったこと、なにひとつ叶えられなくて、ごめんなさい…。それと、私の事を覚えてくださっていたのは、本当に嬉しいです。
でも…私は、過去にソフトボールをしていた、奈良崎Aではありません。今はプロ野球選手・谷口雄也の妻です。普通の奥さんなら簡単にできる事もできないけれど、ゆうやさんの妻である事は諦めたくないです。
…たとえ私が、どこからもいなくなる事があっても。…それがゆうやさんの重荷になるとわかっていても…。
F64：A…。重荷だなんて…そんな事…。
A：水原さん。お願いがあります。ロサンゼルスの事、姉はもっと知りたい事があると思います。車の事情や公共交通の事も、きっと知らない。だから、姉が思う疑問に答えをください。
お忙しい職業なのはわかっていますが、お願いします。
水原：それは、僕ができる事なら…もちろん。
A：はるきさん。お姉ちゃんと水原さん、直接やり取りする方法を作ってください。
はるきさんは、お姉ちゃんが男の人と連絡…って思ってしまうかもしれません。でも、はるきさんを経由する事は、お姉ちゃんは考えないと思います。私の事ではるきさんに迷惑なんてかけられません。
F7：結衣には俺から一平さんの連絡先を渡す。それを使って連絡をとるかは結衣が決める事で、俺は関わらないことにする。
でもこれだけは言わせて。俺はAちゃんの事を迷惑なんて思ってない。だからもっと頼ってほしい。結衣と雄也だけではなく、俺もいる事を覚えていて。
A：でも…。
F7：一平さんも、それでよろしくお願いします。
水原：わかりました。
A：…ゆうやさん。
F64：なぁに？
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作者名：梨瑠(Riru) | 作成日時：2018年8月7日 22時
