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Aが遠投…レーザービームを投げようとしている。これも、動画で撮影する。
3歩前に出てから、ステップを踏んで投げる。ウォーニングゾーンのライン上から、Aが投球していた場所の前に置かれた柵の下方に、ノーバウンドで当たる。
ファールグラウンドやベンチ前にいた全員が、驚いた表情でこちらを見ている…。
内野の中心、ピッチャーの位置までノーバウンド。Aの細い腕のどこに、このパワーが秘められているのだろう。持久力はプロ選手になるには正直足りないだろうけれど、一発にかける集中力なのかなぁ…。
A：ゆうやさん、盗塁みたいなダッシュしたいです！
F64：わかった。遥輝！そっから声出して！A走りたいって！
動画をそのまま撮影しながら、レフトに飛んだボールを拾っていた遥輝に声をかけて、Aを走らせる事にする。
F7：Aちゃん、こっち！思いっきり来ても捕まえるから！
A：はい！…ゆうやさんも一緒に走ろう？
F64：僕はライトに転がった球拾ってから行く。準備いい？…レディー、ゴー！
正面を見て両足を少し広げて立ち、僕の合図で遥輝の方に走り出す。走るフォームも、本当に綺麗。Aが遥輝の所に着いたのを見届けてから動画を止め、僕もライトに転がったボールを拾って、2人の元に走って向かう。
F7：雄也、そこでストップ！Aちゃん捕まえな。
F64：わかったー。A！こっちだよ！
僕に向かって走ってくるAの笑顔。この笑顔を、僕はずっと守りたい…。
A：ゆうやさん、ありがとう！走るって、やっぱり気持ちいい！
F64：走る事ならいつでも、どこでもつきあう！もう少し暖かくなったら、広い公園とかジョギングコースを一緒に走ろう！
2人で投球場所に歩き出そうとした時、球場のスピーカーから音が鳴る。紫音ちゃんが弾いている音楽かな？
でも今のは、僕らを注目させるために、適当に音を鳴らしただけのような気が…。
A：紫音ちゃんー！私の声、聴こえるかなー！
大きな声でAが叫んでいるけれど、流石に3階には届かないか。向こうとこっちの意思疎通ができればなぁ…。
ひと呼吸おいてから流れてきた音楽は、ギターを奏でているような、綺麗な音…。
A：未来の友達…。紫音ちゃん、ありがとう…。
音だけ流れているが。この曲にも歌詞はあるのだろう。
電子ピアノから聴こえる音を聴いていると、涙が出そうになるような感覚になった。
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作者名：梨瑠(Riru) | 作成日時：2018年8月7日 22時
