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(F64 side)
今日の試合は、打線がつながらない日。ヒットは出ているのに、長打が出ないし、ホームベースが遠く感じる。
僕も初回にヒットは打ったが、後続が倒れて2塁にも進めなかった。遥輝も1本ヒットが出て盗塁も決めているが、次打者の僕が倒れて無得点。
7回が終わって0対3で負けていて、悪循環も感じていた。
Aが見に来てくれた試合で、初めて負ける？いや、そんなの感じてほしくない！
8回裏、先頭打者の代打・鶴岡さんが四球で1塁へ。続く卓さんが送りバントで、鶴岡さんの代走・平沼が2塁へ。遥輝は四球を選んで1塁へ歩く。
2番、ライト、たにぐちー、ゆうやー！！
場内アナウンスと共に流れる曲は、いつもと違う。
チャンスで回ってきたらこの曲を流したい、そうお願いした曲が流れる。
So you will see a brand new day
The troubles in your mind will blow away
It's easy to believe they're here to stay
But you won't find them standing in your way
Se a vida e', I love you
Come outside and feel the morning sun
Se a vida e', I love you
Life is much more simple when you're young
曲を聴きながら、僕は手首のミサンガに祈る。
A、病院で決断を聴いた日、教えてくれたね。
この曲は『難しく考えないで、若いからなんでもできるんだよ』と歌っているって。
僕は、ファイターズの中では若手とは言えないけれど、まだ26歳。若いからなんでもできる、そんなつもりでいたい。
『幸せの合い言葉』という、この歌の日本語タイトル。幸せはファンにとって勝利。チャンスの時にはこの曲を聴いて、勝利へとつなげたい…。
バッターボックスに入り、ピッチャーと向き合う。
僕の仕事は、平沼をホームに返す事。欲を言えば遥輝も返したい。それだけで得点差は1点になる。
僕がホームランを打てば同点にはなる。でも、同点になってランナーがいなくなるよりも、僕が塁に残って、3番レアード、4番中田さんのホームランに賭けた方が、ピッチャーも動揺するし、逆転の確率はきっと高い！
2球目を振り抜くと、ボールは右中間を破る。平沼は楽々ホームに返り、遥輝もホームを狙う。僕も2塁につくと、ホームでは遥輝と捕手でクロスプレーになっていた。
アウト？セーフ？
判定を待つ…と、セーフ！のコール。
スタンドからは大歓声が響く。
これで1点差に追いついた。僕がホームに返ると同点になる、そんなチャンスができた。
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作者名：梨瑠(Riru) | 作成日時：2018年8月7日 22時
