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何もしないから。
その言葉にAが真っ赤になるのは、もう見慣れた光景。でも、僕の表情がわからないAには、恥ずかしくても言葉にする事が大事で…。
着替えてリビングに戻り、Aと手を繋いで2階の、僕たちの新しい寝室に入る。ベッドしか置いていない、本当に寝るだけの部屋だ。
Aが使い慣れた目覚まし時計を5時にセットするのを見て。僕もスマホのアラームを5時にセットする。
A：私、5時に起きて朝ごはんの支度するけれど、ゆうやさんはもう少し寝てくださいね。
F64：Aが起きてるのに寝てるなんて、もったいない事したくない。
A：試合なんですから、ちゃんと休んでください。
F64：Aも試合終了後の楽しみのために、体力とっておいて。着替えとグローブとかは僕預かる。
紫音ちゃんは野球初心者でしょ？打球判断できないから、Aが観客席持って行くと荷物になる。係員の誘導笛を頼りにした方が、ずっと確実。
A：…紫音ちゃん、札幌ドームの野球、初めてだった。
チケットに値段書いてないーって怒ってたけど、どんな席にしたの？
F64：内緒！右ピッチャーがかっこよく見える席って水元さんに任せたから、3塁側。それだけは教えておくね。チケット代もいらないよ。紫音ちゃんからお金もらおうなんて、思ってないから。
2人が見る席は、ベンチの真上、最前列のスターシートだと知っている。Aを誕生日に招待した席と全く一緒だと。
A：私どうやって行くかわかんないよ…。だから教えて？
F64：水元さんに頼んでいる。試合前も席に案内してくれるし、試合終了20分後くらいに迎えに行きますって。その時に着替えも預けるから、裏に着いたら着替えて、ブルペンでウォームアップして。その頃には僕もブルペン行けるし、紫音ちゃんの演奏場所には水元さんが案内するから。
A：私、紫音ちゃんの音楽、聴けないの？
F64：紫音ちゃん次第かな。聴けるように準備したと言ってたけれど、急に球場全体なんて緊張しちゃうでしょ？
僕も聴きたいから、全部じゃなくてもいいけれど音響に繋いでほしいって、伝えて。
A：私も…紫音ちゃんの聴きたい曲…いっぱい…。
F64：うん、僕も楽しみ。Aとのバッピ対決も。
A：…ゆうや…さん…。
目を閉じて、ぎゅっと僕の服をつかむ。真っ赤になってるけど、自分からは言いたくない？
僕は手をAの頬に添えて、そっと、優しいkissを贈った。
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作者名：梨瑠(Riru) | 作成日時：2018年8月7日 22時
