5 ページ43
・
中田さんからシーズン目標達成してプレゼントされた、僕の大切なペンダント。
それが、僕がAへ贈った最初のプレゼント。お守り要素の強いものだけど。
でも、独りぼっちで入院する前に渡してあげたかった…という後悔もある。
そして、2人きりで話してて気づいた変化。Aから、全部ではないけど敬語が抜けた…って。相変わらず「さん」呼びだけど、4歳差はやっぱり大きいな…。
A:…ドキドキとまらなくなってきたんで、やめます。ゆうやさん、ありがとう。
F64:僕も、すごくドキドキしてる。少しは、僕の事わかってくれた?
A:はい。『かわいすぎるスラッガー』の意味が、わかった気がします。
F64:それも僕の前では禁止。古い雑誌記事のタイトルとか、どこで覚えてる?
A:インターネットは、ここ10年くらいの記事探すには、神様みたいな存在です。
F64:ネットで僕を調べるの禁止。過去の僕じゃなくて、今の僕を感じて?
A:はい。でも、ひとつだけ…。去年のケガと手術、リハビリって…やっぱり辛かった?
F64:…シーズン中1度も野球ができなかったから、辛くなかったと言えば嘘になる。チームもケガした人多い中でも、野手では最初だったから。
A:1年間手術して孤独…。私、やっぱり耐えられそうにない…。100%見えるようになるって言われても、ゆうやさんがいない事が、考えられない…。
めったに聴けないAの本音か?
椅子に座ったままだった僕は、Aの手を取り僕の上に横向きに座らせ、そのまま抱きしめる。
F64:結論急がないで。僕の心はずっとAのそばにあるから。
Aは独りじゃない。ご両親と結衣さん。お隣のなつさん、あやみちゃんとみどりくん、遥輝と僕もいる。病院の先生も、Aの味方になって方法を考えてくれている。今は考えるのをお休みして、夏休みを楽しんで!
そうだ。Aが毎日使うものってある?身につけているものとか…。
A:白杖?
F64:ちょっと違う。僕も、Aがずっと側にいるって感じられるもの、欲しいなって思った。
A:…ミサンガ作ったら、つけてもらえますか?
僕の上から降りたAは、右足の足首に着けている、水色と緑色の糸で作られたミサンガを見せてくれた。Aらしい色…。
F64:Aが作ったの?
A:3年前、あやちゃんの高校受験の前に作った時に、自分にも。
F64:作って欲しいな。楽しみにしてる。
39人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:梨瑠(Riru) | 作成日時:2018年1月22日 13時