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車内のBGMは、Aのよく聴いているラジオにした。
ニュースと天気予報、そして野球の話をファイターズOBの解説さんとアナウンサーが話をしている。
昨日の試合、遥輝の満塁ホームランの音と解説も聴けた。ラジオ放送だと、こういう感じなんだね。



F64:水の音、噴水でもいい?モエレ沼行かない?

A:モエレ沼公園?私も行った事ないです…。
 それと、ゆうやさん。昨日…ごめんなさい。外で話していたの覚えてるのに、眠ってしまったなんて…。

F64:初めてお酒飲んだんでしょ?飲めたら楽しい事も多いけど、ひとりで飲んだらだめ。
 昨日の事、どこまで覚えているか聞いてもいい?



(A side)


どこまで覚えている?って…。ゆうやさんに言われて、思い出そうとする。


A:あ…。


唇に触れた、優しい感触…。
私、ゆうやさんとkiss…した…。

ぼっ…。

全身が真っ赤になった…気がした。


F64:その顔見たらわかった。眠ってしまう前の事、ちゃんと覚えてるね。
 A、僕が「ちゃん」をつけなくなった理由、わかる?


私は黙って、首を振った。


F64:本物のkissをするときには、敬称はとろうって考えていた。Aと僕、一緒に幸せになりたいから。
 Aも僕の事、「さん」なんかつけなくていい。敬語もいらない。


ゆうやさん、そんなの無理よ…。




(F64 side)


昨日の事、覚えていてくれてよかった。
でも、毎日会えたらkissしたいって言ったら、怒られるかな。


目的地、モエレ沼公園に到着した。
駐車場からは手をつないで、ちょっと歩く事に。
園内の地図を見て決めた目的地は、水と石の広場。
まだ朝が早いからなのか、人はほとんどいなかった。



F64:静かだね、ここ。座ったら、足を水につける事できる場所がある。

A:ほんと…?水に触りたいです。



そう言うと、スニーカーと靴下を脱いで、ジーンズの裾を折り曲げる、A。
準備ができたのを見て、手を繋いで誘導する。


F64:ここ、しゃがんで座って。ベンチに座るみたいに…そう。

A:水、冷たいけど、気持ちいいです…。

F64:ねぇA、何か悩んでる?



結衣さんが言ってた事が気になっていたので、直球で聞くことにした。
Aは、少しだけ顔をあげたけど、すぐにうつむいて。



A:…夏休み中に、これからの進路を決めなきゃって、わかっているけど。どうしていいのかわからなくて…。

F64:Aの小さな頃の夢って、何?
 

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作者名:梨瑠(Riru) | 作成日時:2018年1月22日 13時

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