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Aが、見えるようになることを諦めるというのには、ちゃんとした理由もあって。でも、お母さんは、手術することを勧めている。
僕たちは、Aに何と言ってあげるのがいいのだろうか…。
F64:結衣さんの考えは?聴いてない?
A:仕事やめて私と一緒にアメリカに行くとは、土曜日から話していました。お父さんとお母さんに仕事をやめさせる訳にはいかない…って。
…1年間、はるきさんとお姉ちゃんが会えない。私とゆうやさんも会えない。そんなの、誰も幸せじゃない…。
遥輝が、飲み物を一口飲む。
…なんでそんなに冷静でいられる…?
F7:Aちゃん。
1年って確かに長い。でも、俺らが日本で待っているって、思ってくれない?
A:…2人は人に接する機会が多いです。私やお姉ちゃん以上の人が現れないとも限らない。遠く会えない場所にいる恋人なんて、近くにいる人にとっては、邪魔な存在でしかない。
1夜の間違いとかあっても、私たちには何もできない…。私のためにお姉ちゃんが…はるきさんと…そんなの嫌です…。
F7:…雄也、ちょっと外出ろ。
F64:えっ?うん…。
F7:Aちゃん、雄也と話してきていい?
A:はるきさんが気づいたこと、話さないで…。
F7:その事は、諦める理由の何番目?
A:…いちばんめ…です…。
F7:それなら、隠していたら話が進まない。
A:でもっ!絶対嫌です!
F7:Aちゃんに拒否権なし。大丈夫、気づかない雄也が悪いんだから。
遥輝がAの頭をポンポンっと撫でて、外へ。僕も慌てて外へ出た。
F7:雄也、本当に気づかないのか?
F64:今のでわかった。…手術費用、お金って事でしょ?
F7:多分、億単位だと思う、結衣さんの滞在費用や生活費も含めたら。それを俺らには絶対に頼らないつもりだ。
雄也、お母さんにはっきり言ったな。『すぐにでも、Aちゃんと共に歩みたい』って。
F64:あぁ。言った。
F7:きちんと手順踏んで、籍いれてしまえ。実家と監督には最低限話して、納得させて。シーズンオフまで待たないで、今すぐ動くべきだ。
ま、世間の注目浴びるくらいの大発表、俺らが義理の兄弟になる。それを球団通して正式発表すれば、インパクト強すぎて、バカな女は寄ってこないって。
1夜の間違いとか、ある訳ないのにな。でも、Aちゃんの不安は消せる。
F64:それでAが安心するなら…やる!遥輝も?
F7:やる。俺だって結衣さんに本気だから。
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作者名:梨瑠(Riru) | 作成日時:2018年1月22日 13時