聴きたい、感じたい。 No.2 (ページ3)

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お姉ちゃんに言われた『ゆうやさんに話す』は、ぜんぜん考えてなかった…。
だって、ゆうやさんは忙しい人だから…。

結衣：忙しいから言いたくない。Aの考えそうな事ね。
　Aの大切な進路、すぐに返事はくれなくても、ちゃんと考えてくれるよ？

A：…見えれば、悩まなかったのかなぁ、アメリカ。

結衣：えっ？

A：秋から1年間、行かないかって、冬休み明けに教授から提案されたけど、断った。ひとりで、知らない場所に行くのが怖くて。

結衣：そんな大事な事、どうして話してくれてないの？

A：見えないから、断るのは悩まなかったから。
　でも、1％でも確率あるなら、見えるようになりたい…って思うようになった。
　…その思いは、ゆうやさんと出会って、ますます強くなった…。

結衣：…っ？！
　もう一度、調べてもらう？先生に連絡して、夏休みに検査できるか聞く？少し入院になるだろうけど…。

A：ゆうやさんが札幌いない時がいいけれど、病院もそんな都合よくできないね。
　でも、入院するなら、ゆうやさんに内緒にしたい。検査結果がわからないうちは、言えない。

結衣：わかったわ。お昼休みに聞いてみるね。さ、シャワー浴びてらっしゃい！

A：うん、いってきます！

(結衣 side)

久しぶりに聞いた、Aの本音。ずっと悩んでいたんだね、気づけなくてこめんね、A。
初めて聞いた、アメリカへの留学の話も、驚いた。

『1％でも確率あるなら、見えるようになりたい』…0％じゃない限り、諦めちゃダメ！
でも、アメリカ行きを提案された時と、決定的にあなた、違う事あるよ。雄也さんと出会った今でも、見えるようになったら、アメリカ、行きたい…？

頭の中を切り替えて、仕事行かなきゃ。

玄関を開けて外へ出ると、私の車の隣に1台の車が。そのそばに立っていたのは雄也さん。
…こんなに早くに、どうして？7時すぎたばかりなのに！

結衣：おはようございます。昨日は本当にありがとうございました。
　Aはさきほど起きて、シャワーに行きました。雄也さんには、その後連絡すると思います。お酒の影響はなさそうでした。

F64：おはようございます。
　朝早くすみません。結衣さんに直接伝えたい事があって。
　僕らと一緒にいるのが、どれだけ大変な事かはわかっています。それでも僕は、遙輝と結衣さんを祝福します。
　結衣さんも、無理しないで。遙輝に甘えてください。
　