40 ページ40
「あんね、若い若いって思いよったらあっという間に年取るんよ！」
「そうそう。私達もついこの間までピチピチギャルやったとに気がついたらこんなおばさんになってしまってから。」
「旦那もおじさんになってしまってから！」
アハハハハハ！と顔を見合わせる二人に私はなんとか苦笑いを作る。
どんなリアクションしたらいいの？！
「みっちゃんは、顔はまあ普通やしおっちょこちょいやし、女心とかわからんそうやしどっか抜けとうけど」
「いいとこなしやないですか。」
ひどい言われようやな…。
「でも、周りを明るくする人たい。」
「…明るく？」
「そ！みっちゃんが来るだけでその場がパッと明るくなるやろ？」
「そうそう！なんかわからんけど、みっちゃんの顔見たらみんな笑顔になってしまうと。不思議やんねぇ。」
「そーゆー人はなかなかおらんもんばい。」
そう言って優しく微笑む恵子さん。
「…そういう…もんでしょうか？」
「そういうもんたい！みっちゃんはほんとにようやっとうよ。この店一人で切り盛りして、あげ明るく頑張っとって！…あの時も…。」
「…あの時？」
「あぁ…Aちゃんはこっちにおらんやったんやね。実は、みっちゃん」
ピリリリリリ！
瞬間、話を遮るように恵子さんのケータイがけたたましく鳴った。
「あら！お父さんからやわ。はい？はいはい…あんたまた飲みようとね？！こげな明るいうちからたいがいにしときいよ！今から行くけんね！…ごめん、あん人また昼間っから飲みようみたいやけん行ってくるわ！」
「あら、それやったら私もお暇しようかね。」
「あ、その…」
「急に押しかけて悪かったね！またおいしいレシピ教えてね！」
じゃあ！と、言いたいことだけ行って二人は帰ってしまった。
…みっちゃんのこと聞きそびれてしまったなぁ。
お湯のみを流しにつけて、ふと、居間を見渡した。
古い掛け時計。木目のテーブル。テレビ。畳の上には座布団。みっちゃんが応援してる球団のポスターとメガホン。
そのどれもが、もう引き払った東京の自室とあまりにかけ離れとる。
こげなところで結婚？
「…ないわ。」
ため息を流すように、勢いよく蛇口をひねった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
☆kon☆(プロフ) - 蒲公英さん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉の数々に泣きそうです(/ω＼)まだまだワクワクドキドキして頂けるよう頑張りますので、変わらず応援して頂けると嬉しいです！！ (2020年7月18日 23時) (
レス) id: 8e45766978 (このIDを非表示/違反報告)
蒲公英(プロフ) - いつもお話を楽しみにしております！夢主ちゃんと一緒になって笑ったりどきどきしたりはらはらしたりして、とっても大好きなお話です！いつもありがとうございます！これからも応援しています！これからどうなっていくのかとってもわくわくです！ (2020年7月18日 18時) (レス) id: 82e4cd4c6f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kon | 作成日時：2019年7月13日 10時
