18 ページ18
Side先生
青い空。白い雲。ぽかぽか陽気に心地良い風。
遠くに聞こえる鳥の声。どこかの家から聞こえるテレビの音。
「はぁ〜…平和やねぇ。」
いつもの商店街を歩きながら思いっきり息を吸い込んだ。
「あら、先生今日もぷらぷらしとうとね？」
「ゲンさん、今日はよか魚あるね？」
「今日も活きのいいのが入っとうよ！」
ニカッと笑って魚を見せてくれるけど、何て名前なのかはさっぱりわからん。
「よかね〜。また寄らせてもらうわ。」
「またって…あんた、あんまぷらぷらせんと早よ店継がんと！」
「こーゆーのはタイミングが大事やけんね。」
あはは、と笑って魚屋の前を通り過ぎる。
「あら？今日はお茶飲んで行かんとね？」
「今日はちょっと行かんといけん所があるんよ。将棋はまた今度しようや！」
「何ね」と唇を突き出すゲンさんに手を合わせて魚屋を後にした。
いつもの商店街。いつものみんな。魚を狙う猫だっていつも見る奴だ。
はぁ…ほんと、平和やなぁ…。
もう一度、胸いっぱいに空気を吸い込んで平和を堪能…した直後やった。
「こんのっ！食わず嫌い！つべこべ言わずに食べてみ！」
「いやだ〜！絶対食べん！」
…何でここだけ平和やないと？
店先まで聞こえて来る声はどうやらAちゃんと…子ども？
「こんにちは〜。みっちゃんおる〜？」
「あ！ひろ兄！ちょうどよかった！」
店に顔を出すなりAちゃんがすっ飛んできて俺の腕を引っ張った。
「ちょっ！どしたんよ？！」
「いいけん上がって！」
「仲間よぶとかずりーぞ！」
「呼んだやないもん！来たんやもん！」
居間には小さな男の子が悔しそうにAちゃんを睨んでて…え、これどうゆう状況？
「ほら！ひろ兄座って座って！はい！」
「…えっと…これは…？」
俺の目の前には小さなお皿に乗った…黄色いおかし？
「わざわざ実をこして舌ざわり良くなるように手かけたんやけん、おいしくないわけないやんね！ひろ兄？！」
「こんなの子どもだましや！オレはだまされんぞ！」
「…あの、俺は酒買いに来ただけで…。」
「いいけん早く食べる！」
「はいっ！」
Aちゃんの剣幕に押されて目の前の小さな塊を急いで口に押し込んだ。
「…どげ？」
「…うん、うまいよ。」
「ほらー！」
「ウソだー！」
俺の言葉に男の子は頭を抱えて座布団に突っ伏してしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
☆kon☆(プロフ) - 蒲公英さん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉の数々に泣きそうです(/ω＼)まだまだワクワクドキドキして頂けるよう頑張りますので、変わらず応援して頂けると嬉しいです！！ (2020年7月18日 23時) (
レス) id: 8e45766978 (このIDを非表示/違反報告)
蒲公英(プロフ) - いつもお話を楽しみにしております！夢主ちゃんと一緒になって笑ったりどきどきしたりはらはらしたりして、とっても大好きなお話です！いつもありがとうございます！これからも応援しています！これからどうなっていくのかとってもわくわくです！ (2020年7月18日 18時) (レス) id: 82e4cd4c6f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kon | 作成日時：2019年7月13日 10時
