ヒ ー ロ ー 。 (Daiki.A)

14． ページ14

放課後、いつも待っている優香がいなかった。


いつも優香のクラスが終わるの早いけど、今日はこっちが早かったんだな、と俺も優香がしてるように廊下で待っていた。



少しして教室からザワザワと話し声が聞こえてきて、廊下の向こう側から優香が歩いてくるのが見えた。









「お〜い、優香！」









叫んで、手を振ると、俺に気付いた優香が小走りで走ってきた。









「ごめん、お待たせ…！」


「ううんー、全然！てかそっちの方がいつも待っててくれてるし」









そんな一回きりで謝られると、なんかすごい申し訳なくなってくる…









「よーし、じゃあ帰っ」

「…大ちゃん」









踵を返し、帰ろうといいかけると、優香にジャンパーの端っこをつんっと引っ張られて、止まった。









「ん？」

「………」









優香は今もなお端っこを小さく掴んだまま、俯いている。









「…あのさぁ…もしまた、こーやって私が遅くなっても、待ってて、くれる？」









優香は俺の方を見ずに言った。


俺には、なんで優香がそんなことを言うのか、わからなかった。









「？当たり前じゃん！待ってるよ？」









俺が胸を張って言うと、優香はやっと顔を上げ、なぜか少しホッとしたような顔を見せた。









「……？」

「…じゃあ、帰ろっか」









俺は不思議に思ったけど、優香の言葉に頷いて歩を進めた。







そして、あることを思い出す。









「そうだ！あのさ、遊園地のチケットがあるんだけど…＿」

15．＊→←13.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す