ヒ ー ロ ー 。 (Daiki.A)

2． ページ2

「＿っあ、」









ある時、廊下であいつの姿を見つけた。


やっぱり、合格してたんだ…


俺のただの片想いだったから、高校に入ってから話したことはなかった。


話しかけようか迷う。


話しかけたいけど、


…緊張して。




二メートル、一メートルと、あいつとの距離が縮まって行く。


素知らぬ顔して、名前をよぼう。


今気づいた、みたいな顔で。


決心して、俺は声を絞り出した。









「…っ、優香！」









なのに、その声はすごく震え、緊張したもので、自分でもイタイくらい必至だった。


だけど彼女は、気にすることもなく、ふわ、と振り返って。









「大ちゃん…！」









ふっと笑顔を見せてくれた。









「久しぶり。やっぱ優香、合格してたんだな」

「大ちゃんも！お互い良かったねぇ」

「な。ぶっちゃけ俺は危なかったと思うけど笑」

「そんなことないよ！！大ちゃんめちゃくちゃ頑張って勉強してたじゃん！！」









へらっと頭を掻きながらいった俺に、彼女は真剣な顔で力説する。









「…さんきゅ。」

「ううん。

大ちゃん何組？」

「5組。優香は？」

「1組だよ〜また遠いねー」









時間に制限がかかって、またね、と彼女は手を振りながら走って行った。


'' 大ちゃん '' とキミは呼ぶ。


俺はそんな彼女のことを、中学時代から好きだった。

3.→←1.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す