【実況者】この歌は君に向けて *Inevitable*

第53話 ページ7

「…！せんせ、」

「おい、その手離せや」


先生は男達を睨み付ける
ふぶちゃんに向けるような冗談交じりの物ではなく、本当に冷たく、怒った視線だった


「ふははは！何だよこの男、お前の彼氏くん？随分ひょろっちいなぁ？」

「こんな男より俺達の方がいいって」


先生を、友達を馬鹿にされた
カーッと頭に血が上って、思いっ切り男の足を踏んだ


「いってぇ！！このクソ女ぁ！！！」


男は私に向けて腕を振り上げた
反射的に目を瞑ったが、その腕が振り下ろされることはなかった
先生が腕を掴んでいた


「クソなのはてめぇらの方だべや、失せろデブ共」

「んだとゴラァ！！」

「てめぇらごときがAに手ぇ出してんじゃねぇよ」


先生は男に蹴りを入れた
驚いた、普段結構力をセーブしてるんだなぁ
小柄なのに、すごく痛そう


「っ！！行くぞ！！」


男達は無様に逃げて行った
先生はその男達を見てため息をついた


「大丈夫か？」

「うん……ありがとう」

「気を付けろよ……ごめんな、置いて行って」

「大丈夫だよ！先生のせいじゃないし」


先生は無言で私の手を取った
手を繋がれた、と言った方がわかりやすいだろうか


「え…？」

「行くぞ」


私の手を引いて歩く先生
守ってくれようとしてるのかな……
嬉しい


「先生、家ここだよ」

「おう、じゃあな」

「本当にありがとね」

「ん」






家に帰ると、ヒラからLINEが来ていた


ヒラ＜明日仕事終わったら電話して('ω')迎えに行くから、そっから徹ん家行こう

ニコニコ活動名＜徹くんの家なの？！

ヒラ＜うん、今度の休日に外に遊びに行こう

ニコニコ活動名＜いいけど徹くんの家で何するの？

ヒラ＜映画！観ない？

ニコニコ活動名＜映画？観る！映画好き


徹くんとはちょっと気まずいけど、気まずいままじゃ嫌だからね


ヒラ＜おっけ、じゃあ明日ね

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