【実況者】この歌は君に向けて *Inevitable*

第90話 フジside ページ45

「え？僕ですか？幼馴染、です」


体が勝手に反応した
P-Pさんはニコニコしていたけど、あからさまに敵意をこちらに向けていた


「昔からA、友達少ないから、仲良くしてくれてありがとうございます」

「ぴーちゃん！余計な事言わないでよねー」

「あ、あはは」


Aちゃんは気付いてない
「友達」ってとこを強調して話した
……嫌味、だ


キッと睨みつけた……つもりなのだが、きっと俺は弱々しくなっているんだろうな
P-Pさんが怖かった

明らかに『お前なんかに渡してたまるか』って、瞳が物語っていた


ため息を一つ

幼馴染ってズルくない？
幼馴染の二人が付き合うって、少女漫画の定番だべやそんなの！


……でも、でも
負けるわけには、いかないし
P-Pさんと歩くAちゃんを見て、俺は決心する


そして、P-Pさんに向かってべーっと舌を出してみる
ヘタレな俺のささやかな反抗
ささやかな、宣戦布告



P-Pさんが一瞬振り向いた

……気がした

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