【実況者】この歌は君に向けて *Inevitable*

第71話 ページ26

「おはようございまーす……」


オフィスに入ると隣の席の先輩が手をヒラヒラ振りながら微笑んでいた
というか、そういやアブさんなんだよねこの人
イケメンって自称じゃなかったんですね

いつも微笑んでいて調子がいい、けれどそれ故か真意が全く読めない先輩は、優しいけれどある意味ものすごく怖いのかもしれない


「おはよ」

「先輩はいつも眩しいですねー」

「そう？イケメティックオーラが溢れて出てるせいかな？隠しきれなくて困っちゃうよねぇ」

「は、ははは」


確かに、アブさんっぽいこと言うよなぁ
どうして今までそう思わなかったんだろう


自分のデスクに座りパソコンを起動
あー、仕事つらいなー……

少しでも自分への励ましになればと、卓上カレンダーに印をつけた
北海道へ行く日だ


「何？そのマーク、デート？」

「彼氏いない事を知ってるくせに、嫌味ですか」

「あはは、ごめんごめん」

「北海道に遊びに行くんですよ」

「一人で？」

「友達のところに行きます」

「あー、キヨさん？」


え…？と思ったがそうだ、この人アブさんなんだった、私のTwitter知ってるんだった
ついつい忘れてしまう


「そうです」

「つわはすさんによろしくね〜」

「あ、はい」


そう言って先輩は仕事を始めた

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