【実況者】この歌は君に向けて *Inevitable*

第63話 フジside ページ18

「手取り足取り、ね」


優太に耳打ちされた言葉で頭が真っ白になる
な、何言ってんの？！！
したいけどね！！！！！！！


「えっと、まず持ってみて？」

「…うんしょ」

「コード教えるね…まずはここをこうおさえて…」


Aちゃんの後ろに回る
Aちゃんの指の上からコードをおさえる
おお、な、なにこれ……なまら良い！！！！
湧き上がる煩悩と戦いながらの一つ一つ教える

上手く音が出ると、わぁ、と声を上げるAちゃんがめんこくてめんこくて

堪えるのに必死になる
でも幸せな時間は早く過ぎるもので……







「おつかれ二人とも！もう暗いよ」


ほわほわした笑顔でそう言った優太
時計を見ると確かにもう遅い


「Aちゃんまた来てね」

「徹ー！俺はー？？」

「優太はいっつも来てるしょ！」

「あはは」

「またベース教えてね！」

「おうっ！！」




玄関先で手を振る
Aちゃんは見えなくなるまでずっと手を振っていた
そんな光景を優太はAちゃんの隣でニコニコしながら見ていた


うーん、俺、恋愛対象に入ってるのかなぁ

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