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彼が、純粋な青い瞳を私に向ける。
その瞳にはまだ、汚れをまだ知らない曇りの無い目。
私は、LONA専用ノートという、LONA専用の体の状態や平常運転かを記録するノートを机の中から取り出した。
ペンは常に持ち歩いているものを用意する。
「手伝うことは特に無いかな。体の調子を記録するから、いつものように答えてね」
そう言うと、LONAは「分かりました」と言って、椅子を私の近くに持ってきた。
これは、LONAに一番最初に教えたことだ。
自分の主人を優先にして動くようにプログラムもされている。
「どうぞ」
LONAが椅子の砂埃を払って、私を誘導した。
ゆっくりとそこに腰を下ろす。少しだけ介護された気分だ。
その後にLONAも近くの椅子を、私の近くに持ってきて座った。
「じゃあ、まずは……体に異変とかは無い?」
LONA専用ノートを片手にボールペンを持つ。LONAは、「特には」といつも通りの返事をした。
「自分が必ず守らなければならないことは?」
「ご主人様の身を守り、仕え、従うこと」
これも、いつも通りの返事。
私は毎日聞いていることを次から次へと聞いていった。
出来るようになったこと、覚えた言葉、色々なことを質問する。
すべての質問が終わると、私は最後にしたことが無かった質問を彼にした。
「ここ最近で、悲しい、嬉しいっていうような気持ちにはなった?」
LONAは、早く返事をせずに少しだけ黙って、考える素振りを見せた。
初めてした質問だったからか、返事をするのが遅い。
もしかしたら、足りなかったモノはこれだったんじゃないかと思って質問をしてみたが、聞かない方が良かったのだろうか。
黙ったまま、ずっと考えこんでいる。
数分して、LONAは口を開いた。
「無い…ようです」
「そっか…」
何か足りない。そう感じていたのは、LONAに表情や感情が無かったからなのかもしれない。
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作者名:Hermia | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kakuumusou1/
作成日時:2018年7月1日 20時