世界は鈍色に色褪せる【爆豪】 (ページ2)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:4,014 hit

1 ページ2

時が流れるのは、案外早いもので、いつの間にか高校生になっていた。
　私は、普通の人よりも倍は頭が良くなっていた。……というより、必死に毎日死ぬ気で勉強をしてそれを得た。
　私は“無個性”だから、頑張らないといけなかった。
　代わりにあるのは、化け物の血筋。そんなものは、誰かに見せても嫌われるだけ。

「LONAを作り始めて半年。…でも、何か足りない」

　私の頭脳は、研究者並みになった。
　もしかしたら、もう超えているかもしれないくらいに。
　LONAは人間型のロボット、アンドロイドだ。
　アンドロイドを作るのは初めてだったが、体はもう出来ていた。
　それに、動いて喋ることも出来る。歌うことも出来る。
……なのに、何か足りない部分があった。

　半年前から毎日、校内にある空き部屋を特別に使わさせてもらい、部品を自力で集めて作っている。
　一度決めたことは曲げないタイプの私は、コツコツとアンドロイドのパーツを作り、LONAを完成させた。
　性別は男の子で、年齢は私と同じくらい。
　そして完成をさせたというのに、今日も来ている理由は、まだ点検が必要だったからだ。
　ちゃんと点検をしておかないと、アンドロイドが暴走してしまう危険がある。
　そうなると、もうどうにもならない。
　点検が必要なのは、そういった危険を避けるためだ。
　私は、LONAの首の後ろにある電源スイッチを押した。
　目が光り、肩がピクリと動き出す。

｢こんにちは、ボクはLONA。ご主人様の手助けをするロボットです｣

　喋り方はカクカクとしているが、喋らなければ、見た目は普通の人間に近い。
　初めてにしては、わりと完成度が高いと自分でも思う。
　LONAの方が20センチほど身長が高いので、私は見上げなきゃいけないが。

｢何か手伝うことはありますか？｣

　小さい子供のように、LONAはそう問うた。