夢、そして現実 Aran.A (ページ23)

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現実ページ23

なにかお礼しないと。

今思ってるのは、それだけ。
いやだってさ、シャー芯貰っちゃったんだよ？いくらいつも寝てるからって申し訳ないじゃん？
それに、顕嵐くんが転入してこなかったら、隣の席にこなかったら。私はあの時間どうなっていたか…。

でも、シャー芯のお返しって何…？

シャー芯のお返しだから、豪勢に返すとおかしいよね。
無難に、何か筆記用具で返せばいいか。

そう思って、文房具屋に来た。
今日は放課後の部活はおやすみ。

美勇人｢あれ、A？｣

A｢あれ、美勇人先輩？｣

ここって、美勇人先輩のバイト先だったんだ…。何度か買い物していたけれど、部活帰りだったからか。美勇人先輩を見かけたことは無かった。

美勇人｢何探してるの？｣

A｢シャー芯のお礼です｣

美勇人｢え、シャー芯でお礼買いに行くって…｣

A｢気にしないでくださいよそこは…｣

そんな会話してたら、レジに他のお客さんが来たので私は買うものを探す。

A｢あ、この定規、クラスで流行ってるやつ｣

最近クラスメイトがよく使っているのを見る。アルミホイール製で落とすとよく響くの。
後は、紙が切りやすいらしい…？

森田｢あーそれ？色も豊富だから男女両方とも買いやすいよ｣

A｢わ、びっくりした。じゃあこれにしようかな〜｣

森田｢誰にあげるの？長妻？｣

A｢内緒でーーす｣

森田｢なんなん(笑)せっかくなら、オソロにしてみたら？｣

A｢は？｣

森田｢は？って…。Aってこの定規じゃないでしょ？同じ色のやつ2つ買えば？って言ってんの。｣

A｢いや、これ落とすとうるさいし｣

森田｢人にあげるものを落とすとうるさいって言うか｣

A｢それに、お礼がオソロっておこがましい…｣

そう私が迷っていたら。

森田｢あーもー！なら、Aはその人の為に1つ買って。俺がもう1つ同じものを買う。これは俺のおごり。それならいいでしょ？言い訳が効くし。｣

A｢美勇人先輩って意外と太っ腹なんですね(笑)じゃあ、それで。ありがとうございます。｣

森田｢そう来なくっちゃ！｣

美勇人先輩の粋な計らい…と言えばいいのだろうか。
全く同じ定規を2つ買い、私は家に帰った。