あの子はシンデレラ (ページ9)

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○８ページ9

『体育祭？』

大嫌いな響きの言葉に眉を顰めると松村くんは少し笑って眉間をトンと指でついた。

「そんなに嫌？」

『嫌だよ。運動得意じゃないし。』

運動は苦手だ。お世辞にも上手いとは言えないが、面白くなるほど出来ないわけでもない。1番気を遣われる居心地の悪い空間だ。

「まほ！」

顔をあげるとみさきが笑いかけてくる。

「なんの競技にする？一緒にできるだけ運動しなくてすむのにしよ！」

どうやらみさきも運動が苦手らしい。

『私もそうしたいけど……、どれも大変そうだよね。』

ため息をつきながら黒板に書かれた競技たちを見ていく。

『サッカー、野球、バスケ、バレーボール、リレー、借り物競走……。運動以外の要素が入ってるのなんて借り物競走くらいだよ。借り物競走にする？』

「1人２つの種目に出るの忘れてない？」

突然隣の松村くんにそう指摘され、手に持っていたシャーペンをポロリと落とす。

『1人……２つの種目？』

「そう。」

涼しい顔で松村くんは話し続ける。

「人数の関係らしいけどね。で、どうするの？借り物競走ともう１つ出なきゃみたいだけど。」

「まほ、どうする？」

『あー……私は』