あの子はシンデレラ (ページ24)

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○２３ページ24

『「仲の良い異性」か……。』

話題の"好きな人"では無かったようだ。助かった。ふと周りを見るとわいわいとそれぞれ観客席に向かっている。

「誰かカツラ持ってる人ー！！」

それぞれ叫びながら探しているようだ。カツラなんてなかなか無いだろうし、あの人大変そうだな。

その時、横をみさきが走り抜けていく。向かう先は私たちのクラスがいる所だった。

「ジェシーくん！」

みさきがそう叫ぶ。

「っえ！オレ！？」

ジェシーくんは驚いたような表情をしながらもすぐに観客席から校庭に出てくる。

「行こ！」

みさきはジェシーくんの腕を掴んでゴールへと走っていった。観客席は途端にざわざわと騒ぎ出す。

『……。』

思わず立ち止まって2人の走っていく背中を眺めてしまった。

「黒木さん！お題！」

観客席からの声で意識を手元の紙に戻す。仲の良い異性。どうしようか。その時、ぱちりと北斗くんと目が合う。え、なんかこっち来たんだけど。

「まほ、お題見せて。」

『いいけど……。』

手伝ってくれるのかな。
お題の紙を見た北斗くんは少し黙り込む。そしてじっと見つめてきた。

『な、なに？』

「別に？俺は寂しいだけよ。」

そういうと、北斗くんはいきなり腕を掴んで走り出す。

『え！ちょっと！』

そのままゴールへと向かっていく。いや、北斗くん足速い！置いてかれる！

なんとかゴールまで行くと実行委員の人がお題の紙を受け取ってくれる。

「はい、大丈夫ですね。お疲れ様です！」

ゴールした人たちのいる場所に行くと、みさきとジェシーくんが待っている。

「まほちゃん！」

『みさき！はやかったね。』

「でしょ？頑張って走ったから！」

みさきは迷わずジェシーくんのところに向かってた。お題ってもしかして……。

「そういえば、みさきちゃんのお題なんだったの？」

ジェシーくんがそう聞く。

「オレ、知らないまんま走ってたよー。」

みさきはちょっと考えたふうにした後答える。

「面白い人だったんだよ。そしたらジェシーくんしかいないと思って！」

「え！オレ面白い〜？」

謙遜したふうな言い方だけどその表情はでろでろに崩れている。けど、今年の借り物競走のお題にそんなのあったっけ。