あの子はシンデレラ (ページ3)

今日:9 hit、昨日:31 hit、合計:19,292 hit

○３ページ3

私がジェシーくんを好きになったのは入学式すぐのことだった。

「これ、落としたよ？」

そう言ってパスケースを差し出してくれたのだ。

『え！ほんとだ！ありがとうございます！！』

驚いて大きな声で感謝を述べると少しびっくりした表情をした後、笑顔で嬉しそうに返してくれたのだ。

「HAHA！めっちゃ嬉しそう。オレもすぐに気づけて良かった〜。」

『あ、あの。』

名前を聞こうとしたその時、遠くから誰かがジェシー！と叫んでいるのが聞こえた。

「ヤベッ、オレ行かなきゃ。さっきのなんて言おうとしてくれたの？」

『あ、いえ。ほんと、ありがとうございました。』

普段大声なんて出すタイプじゃない私はそう返すのが精一杯だった。

「そう？じゃ、またね！」

そう言って走っていく背中を見えなくなるまで見ていた。彼の名前はジェシーというらしい。

とはいえ、好きになってから話したりするわけでもなく、もうすぐ6月になる。みさきにも言っていないため、ひっそりと心に秘めた想いとなっていた。