あの子はシンデレラ (ページ17)

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とうとうこの憂鬱な一日が始まってしまった……

すでにサッカーの試合は始まっている。もうそろそろバスケの試合も始まるようだった。

『みさき、体育館行こ？』

隣でサッカーの試合を見ているみさきに声をかける。

「そうだね！」

みさきはすぐに立ち上がって体育館へと歩き始める。

『バスケ、うちのクラス勝てるかな。』

「大丈夫でしょ！ジェシーくんも松村くんもいるし！」

みさきはにこにこと笑っている。ジェシーくんと北斗くんは同じチームらしい。確かに強そう

『あ、もう始まるところじゃん。』

体育館の扉を開けると、ちょうど試合開始の挨拶をしているところだった。急いで試合がよく見える2階まで移動する。

「っし、行くぞ！」

バスケ部員の1人がそう叫んで試合は進み始める。

『すご……。』

試合はどちらも甲乙つけ難いほどのハイレベルさだった。ジェシーくんは高い身長を生かしてゴール付近に近づく。

「シュートできるかな……？」

みさきが不安そうに言う。ボールはジェシーくんにパスされる……ところだったが相手チームにカットされてしまった。

『あぁっ！』

あっという間に相手チームが先制点を取ってしまった。そこからも片方が得点を重ねればもう片方が追いつく、まさにデットヒート状態だ。

「ジェシーくん！頑張って！！」

みさきが突然そう叫ぶ。ボールはちょうどジェシーの元に来たところだった。いつもの笑顔と違い、真剣な顔つきでゴール付近へとドリブルしている。そしてシュートを放った。

『やった！！』

シュートは綺麗にゴールに収まる。ジェシーくんは満面の笑みでチームメイトとハイタッチしていた。

そこに、途中休憩のブザーが鳴る。

「ゴールかっこよかった！」

みさきがそういってジェシーくんに叫ぶ。つられて叫んでいた。

『凄かった！！』

ジェシーくんは嬉しそうに笑ってピースを向けてくる。あの笑顔はずるい、つられて笑顔になってしまう。

ふと視線をずらすと北斗くんと目が合う。

……なにか言ってる？

口パクで何かを言っている北斗くんをじっと見る。

『……おれは？』

北斗くんが頷く。思わず笑ってしまった。ゴールを決めて褒められているジェシーくんが羨ましかったのだろうか。

『よかったよ！』

そう言うと、北斗くんは満足そうに笑ってまたコートに戻っていく。

後半戦のはじまりだ。