あの子はシンデレラ (ページ16)

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『はぁ……。』

もう何度目かも分からないほどため息をついて家を出る。今日は体育祭本番。憂鬱になるのも仕方がなかった。

「まほ？」

『うわっ！？』

ふいに後ろから声をかけられ大きな声を出す。そっと振り向くと北斗くんだった。

『あ、北斗くん。』

「そんなに驚く？」

『ぼーっとしてた。』

あー、そう言って北斗くんは横に並んでくる。

「体育祭憂鬱？」

『うん。』

「そう。」

そう言って北斗くんは黙ってしまった。いや、気まずっ。

『ほ、北斗くんも家こっちだったんだね。』

「え？あぁ、うん。けど今までまほ見かけたことなかった。」

『いつももう少し早くに家出てるからね。時間合わなかったんじゃない？』

北斗くんは納得したというように頷く。

「まぁ、最近はちゃんとボールも取れてるし大丈夫じゃない？」

『え？あ、そうかな。』

いつのまにか話は体育祭にもどっていたらしい。確かに最初のようにボールを頭にぶつけることは無くなった気がする。

「もう逃げられないしね。」

そう言って北斗くんは立ち止まる。学校は目の前だった。

「まほが慌てふためくのを楽しみにしてるよ。」

『性格わるっ！』

「なんとでも言え。」

じゃ、なんて言って更衣室の方へ行く北斗くん。自分が出来てるからって馬鹿にしてるなアレは。