焼き芋から始まる恋【松野千冬】

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『結構遅くなっちゃった。』






時刻は21時。いつもは20時過ぎには寝つく弟が久しぶりに愚図ってなかなか眠ってくれなくて、思ったよりも時間が経過していた






そっと部屋から出て、リビングに置いたままのスマホを急いで確認する






千《何時頃に行けばいいですか？》






メッセージが届いてから大体30分が経っていて申し訳ない気持ちでいっぱいになる






《遅くなっちゃってごめんね。今からならいつでも大丈夫だよ。》






急いで返信すると、外見てくださいとメッセージが届いた






まさかと思って外に出ると、黒のパーカーに黒のスキニーパンツというシンプルな服装の千冬くんが立っていた






千｢こんばんは。｣






そう言って笑う彼の鼻がほんのり赤くて
かなり長い時間待たせてしまったのだと気付いて更に申し訳なくなる






『インターホン鳴らしてくれたら良かったのに。』






いつもは温かい手も握ってみると冷たい






千｢その音で弟さんが起きちゃったら大変じゃないですか。｣






当たり前でしょ？って言うみたいに言われて心がホカホカする






『...ありがとう。』






君は良いお嫁さんになるねって言ったら襲いますよって言われたからかなり焦った






目が本気だった





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