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やっぱりこの季節の海浜公園は綺麗だ。
どの季節でも全然綺麗なんだけど、この季節も最高。
「お前携帯どーしたよ」
「今日家に忘れちゃってさ」
何回も電話をしたらしい圭介は、私が出ないから学校まで来たらしい。どのみちこれに誘う予定だったらしいから学校に来ることに変わりはなかったようだ。
圭介にしてはチョイスが最高だ。
ちょっとらしくないけれど、これも圭介なりのアプローチなんだろう。私が九井くんにしていたように、圭介も私に好きになって欲しいから頑張っている。
「なに見てんだよ」
「花の種。エマにお土産買っていくの」
これとこれとこれだね〜と何種類か手に取る。
お会計を済ませて、公園内にあるカフェに入った。ここはお姉さんが奢ってあげよう!と胸を張れば「おー頼むわ!」と笑っていた。バイクのガソリン代もバカにならないし、これぐらいへっちゃらだ。
圭介と一緒にケーキと飲み物を食べた。綺麗にケーキを食べた圭介は時折難しい顔をする。
「………ねぇ圭介」
「あ?」
「東卍で何かあった?」
万次郎は家にいないし、九井くんもイヌピーも学校に登校してきてない。何かあったのか、もしくは何かが起ころうとしているのかのどちらかってことぐらいすぐにわかる。
眉を顰める圭介は「オマエ、」と私を真っ直ぐに見ると「九井はやめとけ」と言った。一瞬何を言われているのか分からなかった。またいつものように恋敵である九井くんに対しての敵意、かと思っていた。
けれど違った。
「お前は、マイキーと九井どっちにつく?」
「…………は?」
圭介は全てを話してくれた。
九井くんが東卍を裏切って、天竺とかいう横浜の暴走族に入ったこと。花垣くんとイヌピーを嵌めたらしく、イヌピーは怪我を負ったこと。
「俺はお前が好きだ。けど、お前は九井が好きなんだろ」
「………ごめん」
「三ツ谷もやられた」
言葉が出てこない。
天竺の人たちは人の心がないのかな、ブロックで殴られた三ツ谷は今入院中だという。
「……………私、帰る」
椅子から立ち上がると「送る」と圭介は私の腕を掴んだ。けれどその手に触れてスっとおろす。もう一度ごめんと圭介に謝る。圭介はただコーヒーとミルクが混ざるマーブル模様を眺めていた。
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ちえ - 私の最推しのイヌココが出た時はギャーギャー叫ばすにはいられませんでした (2021年11月2日 18時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!あああもう好きっっ (2021年10月12日 23時) (レス) @page37 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
チョコプリン(プロフ) - 更新ありがとうございますぅぅやばいです!ようやくデレ九井くん登場でドキドキが止まらないのともう場地さぁぁぁんって気持ちで溢れて続きが気になりすぎます!!!、 (2021年10月12日 22時) (レス) @page37 id: e53e09d499 (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - 場地さんんん切ねぇ😭更新お疲れ様です! (2021年10月9日 22時) (レス) @page27 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - うわぁめちゃくちゃ続き気になるっ更新お疲れ様です! (2021年10月9日 17時) (レス) @page25 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作成日時:2021年10月3日 14時