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「ーーーだ、だれか!」
イヌピーがアイスに迷いまくった。
二つも食いたいというイヌピーに半分こして食うかと持ちかけれは嬉しそうに頷く。アイスを二つ買い、コンビニの外へ出ればアイツはそこにはいなかった。
どこで道草食ってんだ。それか帰ったかと、買ったアイスの封を開けて中身を食べていれば。先の路地から中坊が涙目で出てきた。
助けを求めている声にその中坊に近づけば「こ、高校生のお姉さんが、」と震えながら言っている。イヌピーと顔を合わせて、思い浮かんだ人物がアイツだった。
「女だからって舐めんじゃねぇぞ!」
「…………はは、万次郎の拳に比べたら屁でもない」
「……あ?万次郎?」
口の端を切って血を流しているソイツが口を拭いながら男を挑発していた。馬鹿だ、女なんて簡単に跳ね飛ばされて地べたに這いつくばるのが落ちだっていうのに。
「私はね、小さい頃からずっと万次郎のサウンドバッグだったんだよ!!」
本物の馬鹿だ。
ひとまわりも体が大きい男が腕を振り上げる。佐野Aは、目を瞑りその後のことを覚悟していた。
男の腕を掴みあげれば、俺とイヌピーをソイツは睨みつける。だが、すぐに地べたに這いつくばった男は「なんでお前らがここに……」と俺らのことをよーく知っているようで。
「わぁ、怖かったー……」
半泣きの佐野Aの胸ぐらを掴み無理やり立たせる。驚いたように俺を見上げた彼女に、奥歯を強く噛み締めた。
「てめぇ、あのままじゃ顔に傷つけられてたんだぞ。その顔に傷つけたら俺がてめぇを殺すぞ」
「…………………」
赤音さんと同じ顔に傷をつけんな。
その言葉がなによりもコイツを傷つけていることになんて気づかないほど、俺の心はまだ餓鬼であの人にずっと囚われていた。
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ちえ - 私の最推しのイヌココが出た時はギャーギャー叫ばすにはいられませんでした (2021年11月2日 18時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!あああもう好きっっ (2021年10月12日 23時) (レス) @page37 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
チョコプリン(プロフ) - 更新ありがとうございますぅぅやばいです!ようやくデレ九井くん登場でドキドキが止まらないのともう場地さぁぁぁんって気持ちで溢れて続きが気になりすぎます!!!、 (2021年10月12日 22時) (レス) @page37 id: e53e09d499 (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - 場地さんんん切ねぇ😭更新お疲れ様です! (2021年10月9日 22時) (レス) @page27 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - うわぁめちゃくちゃ続き気になるっ更新お疲れ様です! (2021年10月9日 17時) (レス) @page25 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作成日時:2021年10月3日 14時