38 ページ40
*
好きだった。そりゃもうめちゃくちゃに好きで。
「………あぁ、わかった」
集会前。マイキーの携帯に一本の着信が入った。何かを聞いたマイキーの顔はどんどん青ざめていく。その顔、見たことがある。真一郎くんが亡くなった時と同じ顔だ。
「…………場地、Aが」
震えた声が俺の脳幹を揺らす。
Aが学校終わりに学校の裏山に入って行ったらしい。しかもその裏山が燃えていると乾から連絡が来た。
『圭介！』
マイキーが動揺している中、ゴキを走らせてAの高校へと走った。どんなに急いだって間に合わないことは分かっていた。けれど、それでも無事で居てほしかった。
俺だけじゃない。お前に無事で居てほしいのはマイキーも思っていることだ。アイツ、Aのこと馬鹿にしてっけど家族同然で大切にしてんだよ。前に「エマと場地、それとAがいなくなったら俺壊れちまうかもなー」って言ってたんだよ。
「…………くそッ！」
Aの学校について、中に入って行く。
裏山ってどう行けばいいんだよ。わかんねぇ。
けど、人だかりでうるせぇ場所があってそこに走って行った。もう鎮火も終わって、消防の奴らもホッと胸を撫で下ろしている。
そんな中目に入ったのは、九井に抱きしめられているAの姿だった。声をかけようにもかけられない雰囲気に、ただ立ち尽くすしか無かった。
「ほんとムカつくわてめぇ」
死んだ人間には勝てないと泣いていた。だから俺にだって勝ち目はあるって思っていた。九井がAにキスをして、額合わせて笑っている二人を見てしまったらもう勝ち目もなにもないんだと悟っちまった。
「場地……！Aは！」
「………無事。九井と一緒にいる」
後から遅れてきたマイキーの肩を叩く。
安堵してバブにもたれるマイキーが「はは……」と笑いながら涙を流す。
「…………場地？」
「………マイキー、俺シツレン決定だ」
涙を流したのは久しぶりだった。
長年の初恋もここで終わりか。ずっと好きだったんだけどな。
なんでアイツは九井と出会っちまったんだよ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 691人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちえ - 私の最推しのイヌココが出た時はギャーギャー叫ばすにはいられませんでした (2021年11月2日 18時) (
レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - 更新ありがとうございます！！！あああもう好きっっ (2021年10月12日 23時) (レス) @page37 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
チョコプリン(プロフ) - 更新ありがとうございますぅぅやばいです！ようやくデレ九井くん登場でドキドキが止まらないのともう場地さぁぁぁんって気持ちで溢れて続きが気になりすぎます！！！、 (2021年10月12日 22時) (レス) @page37 id: e53e09d499 (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - 場地さんんん切ねぇ😭更新お疲れ様です！ (2021年10月9日 22時) (レス) @page27 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - うわぁめちゃくちゃ続き気になるっ更新お疲れ様です！ (2021年10月9日 17時) (レス) @page25 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：美桜
| 作成日時：2021年10月3日 14時
