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「ーーー清美の失態は後で代償を頂くとして……。いい年頃の女だァ。肉付きもいいし、何より若い」



驚いたように私を見る母にお構いなしに鬼はそう言って舌舐めずりをした。私から、「娘だよ」って言えば何か変わるかなと思っていた。けれど、そんなのただの夢だった。


母は「あははは!」と高笑いをすると、私のことを睨みつけた。小さい頃いつも私に向けてくれた優しい瞳とは違う、初めて見る瞳だった。その瞳をじっと見返していれば、その瞳はすぐに優しいものへと変わった。


動き出した杏寿郎に、私も鬼殺するべく動き出そうとした。だが、目の前まで走ってきた母は私を抱きしめてきた。



「…………は?」

「A!会いたかったわ……」



私を瞳に写して、頭を撫でる母に全身鳥肌が立った。

私はこの瞳を持つ人間を知っている。花街で友達だと思っていた女の子もこの瞳をしていた。「助け合おうね」と言って笑ってくれていた、私をあの時置き去りにした女の子と一緒の瞳。



「…………A、また可愛がってあげるから。私の元に帰ってきなさい。………ね?」



きっと小さい頃の私なら迷わず頷いていた。
だけど、今は貴方よりも、もっとそばで一緒にいたい人が私にはいる。


強く掴まれている肩が痛い。爪が食い込むほど、強く掴まれているからだ。母の手の上に自身の手を乗せて、ゆっくりとおろした。


「帰らない。……お母さんは私のことを利用したいだけでしょう」



娘の私よりお金を取った。
きっとこのまま母の手を取れば、私はあの鬼の食事にされる。そんなのすぐにわかった。



「…………この役ただず!!」



頬を叩かれ、髪の毛を引っ張られる。聞きたくもない罵詈雑言を浴びせられた。

全然、痛くない。こんな痛み、鬼との死闘で出来る傷に比べたらヘッチャラだ。杏寿郎が初めて私にくれたリボンに、母の手が伸びてきた。このままされるがままの私でいると思うなよ。手荒に母の腹を蹴りを入れ、自分の上から退かせる。


向こうで鬼と戦っている杏寿郎の元へと走っていった。



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 炎柱継子   
作品ジャンル:アニメ
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夕憑紅(プロフ) - あの、お話自体を否定しているようで申し訳ないのですけれども、呼吸の色とかは、実物では無かったと、漫画にで書いてあった気がします。 (4時間前) (レス) @page2 id: 2500c6590e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - あ ま ね 。さん» コメントありがとうございます。やはり不死川さん好きなので、なにかと絡み入れたくなるんですよね笑夢主ちゃんは風柱のことを「おはぎ柱」と呼んでるんで、毎回この流れになってます笑 (2020年12月5日 20時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - めるさん» コメントありがとうございます!そのように言っていただけて嬉しいです。執筆の励みになります!出来るだけ毎日更新していくのでよろしくお願いします! (2020年12月5日 20時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - おはぎ柱で爆笑しました笑笑 更新楽しみにしてます! (2020年12月5日 8時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
める(プロフ) - ほんとうにほんとうに美桜さんの作品がすきなので続きが楽しみで仕方ないです…。わくわくして待ってます!! (2020年12月5日 2時) (レス) id: 0fd2e5e0a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/  
作成日時:2020年12月4日 20時

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