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「どうして夕方あんなことしたの?」
「俺たちの仲の良さを見せるためだ!」
仲の良さを見せつけるためにあんなことしなくたって他に方法はあったはず。
午前0時過ぎ。
隊服に着替えた私と杏寿郎は真夜中の屋敷を捜査していた。もう皆寝静まった時間だ。大きなあくびをしていると、物音が聞こえ二人して死角になる壁に隠れた。
姿を見せた母はフラフラとある部屋に入っていく。杏寿郎と顔を見合わせると、その部屋の前まで行き中を覗いた。母は絨毯を捲り、そこに隠されていた地下通路への入り口を開けていた。
「(……………嘘)」
後を追うように、気配を消して地下に入る。
徐々に強くなる鬼の気配に、私は母にずっと焦がれていた思いを消してしまいたくなった。真っ暗闇の中に見えてくる。手を合わせ拝むように膝をつく母と、その母の前にいる鬼。
目を大きく開き、その光景を焼き付ける。
杏寿郎が「清美殿がやはり匿っていたか」とボヤいた。気づいていんだ。母から強く匂っていた鬼の匂い。
「…………お前、鬼殺隊を屋敷に招き入れたのか?」
「え?鬼殺隊とは何ですか?今日ふたり、新しい奉公人を迎え入れましたが………まさか、そいつらが?」
「この役立たずめが」
出てこい!!と叫ぶ鬼に、私と杏寿郎は彼らの前に出て行く。この鬼は沢山の人を食べている。きっと20人弱。母を食い殺さない理由は、餌である人間を彼女が連れてきてくれるから。
「…………失望した」
「は?何を言ってるの、火國さん」
.
「この屋敷は数日に一人は姿を消すの。怖いんだけど、お給料がいいからなかなか辞める決心もつかなくてね」
.
日輪刀を鞘から出す。
炎のような赤い刃が光に照らされ、なお赤く燃える。失望した、なのに少しも涙は出てこなかった。
「…………私の姓は火國じゃない。火和A。貴方が10年前花街に売った、実の娘よ。……お母さん」
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夕憑紅(プロフ) - あの、お話自体を否定しているようで申し訳ないのですけれども、呼吸の色とかは、実物では無かったと、漫画にで書いてあった気がします。 (10時間前) (レス) @page2 id: 2500c6590e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - あ ま ね 。さん» コメントありがとうございます。やはり不死川さん好きなので、なにかと絡み入れたくなるんですよね笑夢主ちゃんは風柱のことを「おはぎ柱」と呼んでるんで、毎回この流れになってます笑 (2020年12月5日 20時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - めるさん» コメントありがとうございます!そのように言っていただけて嬉しいです。執筆の励みになります!出来るだけ毎日更新していくのでよろしくお願いします! (2020年12月5日 20時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - おはぎ柱で爆笑しました笑笑 更新楽しみにしてます! (2020年12月5日 8時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
める(プロフ) - ほんとうにほんとうに美桜さんの作品がすきなので続きが楽しみで仕方ないです…。わくわくして待ってます!! (2020年12月5日 2時) (レス) id: 0fd2e5e0a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年12月4日 20時