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それでは失礼します、と一口で残りの抹茶を飲み終えると杏寿郎の質問に答えぬまま走り出した。走りながら、胸の懐にある辞表を取り出す。
これを出して鬼殺隊辞めるよ私。
「待て、A!!!!」
「うげっ!!」
随分と前に走り出したはずなのに、すぐ後ろにいる杏寿郎に目玉が飛び出しそうになってしまう。手を伸ばした杏寿郎に首に巻いているリボンを掴まれた。
首が思いっきり締まり、背中から後ろに倒れた。
辞表提出前に、柱により息の根を止まらせてしまうところだった。大きく咳き込みながら「何するの!」と怒鳴るも、私の声量より大きな声が耳を吹き抜ける。
「Aが待たないから悪い!!」
「後一歩で死ぬところだったんだけど?!」
「だが生きている。問題などない!」
問題ありすぎる。
呼吸を整える私の前に足を曲げてかがみ込む杏寿郎。目線を合わせると「君は鬼殺隊を辞めたいのか」と真剣な顔で聞いてきた。
「私が辞めたいと思ったから辞めるんじゃん」
「俺が許さない!!」
「言うと思った!!」
理由はともあれ。辞めてやる。
解けてしまった首のリボンを綺麗に結び直し、息を吐く。「帰るぞ」という杏寿郎の背中に私は叫んだ。
「杏寿郎!あそこに焼き芋屋さんがあるよ!」
「よもや、どこだ?!」
そして、脱走。
一目散に全集中常中。
目指すは産屋敷邸。産屋敷邸前に風柱の不死川さんを発見した。だが、今は無視して、その門を潜ろうとすれば不死川さんにリボンを掴まれた。
「てめぇ、御館様の屋敷に突進しようって心つもりかァ?」
「違うんです!私は今追われているんです。見逃してください。おはぎ柱様!」
「誰がおはぎ柱だァ!!」
その眼光だけで人一人殺せるんじゃないかな。
リボンが解かれ、挙句それで首を絞められる。私のこの愛用の首巻き用リボン、人を殺めるための道具ではないのですが。
「やめろ、不死川!」
「……煉獄。継子の躾がなってねぇぞ。首輪つけてんだ、ちゃんと躾しやがれェ」
「これ……首輪じゃ、……ない……」
不死川さんからリボンを取り上げる杏寿郎のせいでより強く締め付けられた私は半分泡を吹きかけた。
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夕憑紅(プロフ) - あの、お話自体を否定しているようで申し訳ないのですけれども、呼吸の色とかは、実物では無かったと、漫画にで書いてあった気がします。 (5月8日 17時) (レス) @page2 id: 2500c6590e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - あ ま ね 。さん» コメントありがとうございます。やはり不死川さん好きなので、なにかと絡み入れたくなるんですよね笑夢主ちゃんは風柱のことを「おはぎ柱」と呼んでるんで、毎回この流れになってます笑 (2020年12月5日 20時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - めるさん» コメントありがとうございます!そのように言っていただけて嬉しいです。執筆の励みになります!出来るだけ毎日更新していくのでよろしくお願いします! (2020年12月5日 20時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - おはぎ柱で爆笑しました笑笑 更新楽しみにしてます! (2020年12月5日 8時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
める(プロフ) - ほんとうにほんとうに美桜さんの作品がすきなので続きが楽しみで仕方ないです…。わくわくして待ってます!! (2020年12月5日 2時) (レス) id: 0fd2e5e0a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年12月4日 20時