18 ページ19
*
女性としてあるべき行動、勉学、芸事、どれをとっても、女としても一人の人間としても素晴らしいと言われるよう小さい頃から母から躾けられていた。
好きなことは何?と言われれば、お茶道や花道、お琴とすぐに言うこと。女としての正しい言葉遣い、殿方から好意を持たれるようお淑やかにしていなさい。母はいつもそう言っていた。
「………Aは本当に良い子ねぇ。大好きよ」
「本当?」
「えぇ。だからもっと上を目指しなさい」
「一番になったらまた会いに来てあげる」そう言った母は最後にそれきり姿を見せなくなった。私は知らない土地で、知らない人たちに囲まれた。
どんなに辛いことがあっても笑顔でいるのがここでの基本。男の人に愛想を振り撒き、お金をいただく。まだ小さくとも、幼子に興味を持つ男の人だって中にはたくさんいた。
この世界では数字がものを言うと知った時、ここで一番になればお母さんにまた会える、そう純粋な気持ちで頑張った。
しかし一年もしないうちに、その土地は鬼という生き物に襲われた。走って逃げる中、私は躓いて一緒に逃げていた子に手を伸ばした。だけど、人間は簡単に人を裏切る。
……あぁ、お母さん。お母さんに会いたい。殺されるとすぐにわかった。目の前で涎を流し、襲いかかってくる鬼に恐怖心は何故か感じられなかった。ただただお母さんに私は会いたかった、それだけだった。
絶体絶命の危機、私を助けてくれたのは当時の鬼殺隊炎柱。
その土地では大勢の人が殺された。
私が預けられていた見世の人たちは全員死亡。私を置いて逃げて行った彼女もそういうことなのだろう。
彼に連れられてやってきた大きなお屋敷。
どこだろうと思いながら大きな手を握って進んでいれば前からやってきた彼とよく似た男の子。
「おかえりなさい、父上!その子は?!」
「任務先でな。……暫くうちで預かる」
「わかりました!!」
歳の近い男の子に会うのはそれが人生で初めてだった。だからなのか、それとも彼だったなのかわからないけれど。初めて向けられた温かい笑顔に、私は差し伸べられた手を掴んだ。
「俺は煉獄杏寿郎だ!よろしく頼む!君は?」
「火和、A」
「Aか!良い名前だ!」
すぐに仲良くなった私は、彼のことをいつも「杏ちゃん」と呼んで後ろの後を付いて回っていた。
.
817人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夕憑紅(プロフ) - あの、お話自体を否定しているようで申し訳ないのですけれども、呼吸の色とかは、実物では無かったと、漫画にで書いてあった気がします。 (2時間前) (レス) @page2 id: 2500c6590e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - あ ま ね 。さん» コメントありがとうございます。やはり不死川さん好きなので、なにかと絡み入れたくなるんですよね笑夢主ちゃんは風柱のことを「おはぎ柱」と呼んでるんで、毎回この流れになってます笑 (2020年12月5日 20時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - めるさん» コメントありがとうございます!そのように言っていただけて嬉しいです。執筆の励みになります!出来るだけ毎日更新していくのでよろしくお願いします! (2020年12月5日 20時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - おはぎ柱で爆笑しました笑笑 更新楽しみにしてます! (2020年12月5日 8時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
める(プロフ) - ほんとうにほんとうに美桜さんの作品がすきなので続きが楽しみで仕方ないです…。わくわくして待ってます!! (2020年12月5日 2時) (レス) id: 0fd2e5e0a5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年12月4日 20時