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「ーーー杏寿郎さん」



あ?と杏寿郎さんを睨む男の人は、次の瞬間には彼に掴まれていた腕を痛がり、私から離れて行った。逃げるように走っていく二人をボーッと見つめていれば、私の前に来た彼は崩れた襟を綺麗に整えた。



「A、怪我はないか?」

「私は大丈夫……あっ、千寿郎くん、大丈夫?!」

「ぼ、僕は大丈夫です」



ポロポロと涙を流しながら、自分を不甲斐ないと罵る千寿郎くんを抱きしめてありがとうと礼を言った。涙を拭ってあげた後、腰を上げて数ヶ月ぶりに会った愛おしい彼を目に映す。


炎のような髪色に、特徴的な眉。

私を見、口角を上げる杏寿郎さんに久しぶりと言おうとすれば「久々だなA!」と相変わらず大きな声で被せられ言われる。



「助けてくれてありがとう」

「うむ。怪我もなく良かった」



口を綻ばせると、彼もまた口角をあげた。手に持っている食材の入ったカゴを持ってくれる彼と、千寿郎くんの三人で途中まで一緒に帰ることにした。


千寿郎くんに手を伸ばし、繋ぐように促せば少し恥ずかしそうに躊躇っている。「甘えていいんだよ」とニコリと笑うとどこか嬉しそうに手を伸ばした。



「いつも済まない。千寿郎を気にかけてくれて、助かっている」

「ううん、千寿郎くんは弟みたいなものだから」



早くにお母さんを亡くし、甘える居場所のないまだ小さな彼に少しでも私を頼って欲しい。お互いの帰路への分かれ道に着くと、杏寿郎さんから荷物を受け取る。



「父上に挨拶をしたら、その後にAの屋敷に向かう!」

「はい、わかりました」

「うむ」



笑顔を浮かべた後、踵を返せば後ろから「そうだ、A!」と大きな声をかけられた。振り返れば、彼はむっと胸を張って「ただいま、A」と言葉を紡いだ。



「………おかえりなさい、杏寿郎さん」



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 炎柱   
作品ジャンル:アニメ
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るる - 読んでる途中に目から水が、、、、、、、、 とってもいい作品でした!!!!!! (7月25日 14時) (レス) @page50 id: daa8a87cdb (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 初めまして!涙なしに観れませんでした… (2021年9月26日 18時) (レス) @page50 id: fb083d1d07 (このIDを非表示/違反報告)
名無し12758号(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございます…!一話目から引き込まれて全て読みました、鼻水まで出してみっともない泣き顔で読んでしまいました…笑笑映画でもボロ泣きしましたがこれでも号泣してしまいました、素敵な話が読めて良かったです。本当にありがとうございます! (2020年11月23日 19時) (レス) id: 3be706ff9b (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - 初めまして!このお話を深夜に見かけ一気に読みました。映画でも泣きましたが、このお話も号泣でした。素敵なお話ありがとうございます。何度でも読んでしまいそうです。 (2020年11月23日 2時) (レス) id: b7bf575f91 (このIDを非表示/違反報告)
raaaaaaam(プロフ) - 初めまして!私も一気に読み、深夜なのに号泣笑 隣に寝てる子供が起きるぐらい泣いてしまいました笑 煉獄さん、、最高!素敵な夢を見させて下さりありがとうございます(T_T) (2020年11月20日 4時) (レス) id: c6906907ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/  
作成日時:2020年10月26日 20時

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