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「ーーーあの、」



杏寿郎さんとの待ち合わせまであと10分。

待ち合わせ場所で本を読みながら、彼を待っていると声をかけてきた。本から顔をあげると、そこには見知った顔の人がいた。



「…………確か魚屋の息子さん、でしたよね?」

「はい、そうです」



本を巾着に入れて「こんにちは」と挨拶をすれば、彼は嬉しそうに顔を綻ばせた。どうかなさいましたか、とこちらも顔を綻ばせて、聞けば「こんなところで不躾かと思うのですが……」と言葉を濁らせた。


何か話しづらいことなのだろうか、緊張し焦っている彼に大丈夫ですよと促していると、急に手を握られた。



「あの、俺………!」

「え?」



彼が何か言葉を紡ごうとした時、私たちの会話に割って入るように「待たせただろうか?」と杏寿郎さんの声がした。


すぐ掴まれていた手を振り払うように離して、杏寿郎さん……杏寿郎の元へと駆け寄っていく。彼は私との距離が短くなると、手を伸ばし私を力強く引き寄せ
た。


すっぽりと彼の胸の中におさまってしまう。

人気のあるところでこんなことをされるのば気恥ずかしい。すぐに顔が赤くなってしまうのは無理がなかった。



「彼女に何か用だろうか?」

「……あ、……いや……」



杏寿郎が離してくれた時には魚屋の息子さんはいなかった。驚きましたと熱ってしまった頬を隠すように手で覆い、彼に伝えれば「愛い」と叫んだ。



「済まない。あまりに愛おしくてな、つい」



差し出された温かい手に、私はそっと自分の冷えてしまった手を乗せた。手を繋ぐのはいつぶりだろうねとそんな他愛無い話をしながら、私たちの久方ぶりの逢瀬が始まった。



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 炎柱   
作品ジャンル:アニメ
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るる - 読んでる途中に目から水が、、、、、、、、 とってもいい作品でした!!!!!! (7月25日 14時) (レス) @page50 id: daa8a87cdb (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 初めまして!涙なしに観れませんでした… (2021年9月26日 18時) (レス) @page50 id: fb083d1d07 (このIDを非表示/違反報告)
名無し12758号(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございます…!一話目から引き込まれて全て読みました、鼻水まで出してみっともない泣き顔で読んでしまいました…笑笑映画でもボロ泣きしましたがこれでも号泣してしまいました、素敵な話が読めて良かったです。本当にありがとうございます! (2020年11月23日 19時) (レス) id: 3be706ff9b (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - 初めまして!このお話を深夜に見かけ一気に読みました。映画でも泣きましたが、このお話も号泣でした。素敵なお話ありがとうございます。何度でも読んでしまいそうです。 (2020年11月23日 2時) (レス) id: b7bf575f91 (このIDを非表示/違反報告)
raaaaaaam(プロフ) - 初めまして!私も一気に読み、深夜なのに号泣笑 隣に寝てる子供が起きるぐらい泣いてしまいました笑 煉獄さん、、最高!素敵な夢を見させて下さりありがとうございます(T_T) (2020年11月20日 4時) (レス) id: c6906907ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/  
作成日時:2020年10月26日 20時

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