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杏寿郎さんが任務に行って3ヶ月。
その間私は何もない日を過ごす。両親のお墓参りに行ったり、時折煉獄家にお邪魔しては一緒に千寿郎くんと料理をしたり。
ある日、いいお酒が手に入ったためそれを槇寿郎さんに譲ろうと思い、煉獄家に向かっていた。慌てた様子で小さな荷物を持つ千寿郎くんが屋敷から出てきた。
私を見るなり顔が強ばる。どうかしたの?と聞くが、彼は何もないと首を横に振った。地面に膝をつけて、千寿郎くんの瞳を見る。
「千寿郎くん、嘘はいけませんね」
「……っ!………兄上が任務先で負傷したと聞いて……」
「!」
「あ、兄上からは黙っていて欲しいと……!」
どうやら杏寿郎さんから口止めされていたようだ。
私は千寿郎くんの手を繋ぐと「行こうか」と歩き出した。
今、杏寿郎さんは柱の一人である胡蝶さんのお屋敷で療養しているとか。ここからは少し距離があるけれど、すぐに着くらしい。
暫く二人で歩いて着いたお屋敷には、たくさんの蝶が飛んでいた。幻想的で綺麗だなぁと思っていると、綺麗な女の人がで迎えた。
「千寿郎くん、お久しぶりです」
「お久しぶりです、胡蝶様。兄上はどちらに…」
「あぁ、あちらにいますよ。……それよりもそちらの方は?」
杏寿郎さんの居場所がわかった私は、その胡蝶さんという綺麗な人に頭を下げて迷わず向かった。
病室の中に入ると小さな女の子に薬湯を渡されている杏寿郎さんがいて、どうにも薬湯を飲むことに渋っているようだった。
「むっ?!A、何故ここに…?!」
驚きを隠せていない彼は薬湯を近くの台に置いた。
静かに彼のもとに歩いていくと、杏寿郎さんは小さな女の子に「彼女と二人にさせてはくれまいか?」と退出を申し出た。
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るる - 読んでる途中に目から水が、、、、、、、、 とってもいい作品でした!!!!!! (7月25日 14時) (レス) @page50 id: daa8a87cdb (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 初めまして!涙なしに観れませんでした… (2021年9月26日 18時) (レス) @page50 id: fb083d1d07 (このIDを非表示/違反報告)
名無し12758号(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございます…!一話目から引き込まれて全て読みました、鼻水まで出してみっともない泣き顔で読んでしまいました…笑笑映画でもボロ泣きしましたがこれでも号泣してしまいました、素敵な話が読めて良かったです。本当にありがとうございます! (2020年11月23日 19時) (レス) id: 3be706ff9b (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - 初めまして!このお話を深夜に見かけ一気に読みました。映画でも泣きましたが、このお話も号泣でした。素敵なお話ありがとうございます。何度でも読んでしまいそうです。 (2020年11月23日 2時) (レス) id: b7bf575f91 (このIDを非表示/違反報告)
raaaaaaam(プロフ) - 初めまして!私も一気に読み、深夜なのに号泣笑 隣に寝てる子供が起きるぐらい泣いてしまいました笑 煉獄さん、、最高!素敵な夢を見させて下さりありがとうございます(T_T) (2020年11月20日 4時) (レス) id: c6906907ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年10月26日 20時