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「ーーーA、」
出会いから数年。
家族ぐるみの付き合いが多かったから、彼とはすぐ打ち解けた。歳をつれることに、同じ目線だった背丈は彼の方が高くなり、それと共に力をつけていた。
時間のある限り、槇寿郎さんから剣技を学び、自分を曲げない努力家だった。
昔のように、二人で遊ぶ程の時間はなくなってしまっていた。
鬼に両親を殺されてから、杏寿郎さんは以前よりも鍛錬に勤しんだ。時折、私の様子を見にきては、ほんのちょっとだけ話すだけ。
それでも、一人だった私は救われていた。
久しぶりに会いにきてくれた彼の背中には、「滅」の文字が刻まれている。彼は先日、鬼殺隊の最終選別というものに参加したと報告してくれた。そこで生き残り、鬼殺隊に入隊したことも。
「俺も鬼殺隊の一員として、鬼を滅する。ーーー俺は俺の責務を全うする」
「…………」
「俺はいずれ柱になる。そして、煉獄家の家系を繋ぐためにも、いずれ一生を添い遂げる女子を娶らねばならん」
私は鬼に家族を殺された被害者。だから、正直言って鬼は憎い。だけど、憎しみに囚われていないのは、私に光を差し伸べてくれた人がいたからだ。
「今までずっと伝えようか悩んでいたが、決心した」
「……………」
「俺はA、君が好きだ」
そう、光だ。とても眩しくて、それでいて暖かい。
貴方の瞳に映る私は、生きてきた人生で一番嬉しそうで幸せそうな表情をしていた。
「杏寿郎、貴方は私にとって光なんです。出会った頃からずっと眩しくて、暖かい。私の世界を照らしてくれた。私は貴方のことがずっと好きだったんです」
「ーーー!」
好きの二文字を口にして、伝えたある夏のはなし。
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るる - 読んでる途中に目から水が、、、、、、、、 とってもいい作品でした!!!!!! (7月25日 14時) (レス) @page50 id: daa8a87cdb (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 初めまして!涙なしに観れませんでした… (2021年9月26日 18時) (レス) @page50 id: fb083d1d07 (このIDを非表示/違反報告)
名無し12758号(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございます…!一話目から引き込まれて全て読みました、鼻水まで出してみっともない泣き顔で読んでしまいました…笑笑映画でもボロ泣きしましたがこれでも号泣してしまいました、素敵な話が読めて良かったです。本当にありがとうございます! (2020年11月23日 19時) (レス) id: 3be706ff9b (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - 初めまして!このお話を深夜に見かけ一気に読みました。映画でも泣きましたが、このお話も号泣でした。素敵なお話ありがとうございます。何度でも読んでしまいそうです。 (2020年11月23日 2時) (レス) id: b7bf575f91 (このIDを非表示/違反報告)
raaaaaaam(プロフ) - 初めまして!私も一気に読み、深夜なのに号泣笑 隣に寝てる子供が起きるぐらい泣いてしまいました笑 煉獄さん、、最高!素敵な夢を見させて下さりありがとうございます(T_T) (2020年11月20日 4時) (レス) id: c6906907ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年10月26日 20時