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「姉ちゃん、うざいよ」
「?!!!!!」
それはとある日の昼下がり。
胡蝶様のお屋敷に遊びに行くという隼人の手には綺麗な花が握られていた。誰にあげるの?としつこく聞きすぎたか、隼人に言われたその言葉に私は膝から崩れ落ちた。
そんな私を放って、隼人は走って胡蝶様の屋敷に一人で行ってしまう。隼人が生まれた早8年半。ずっと欲しかった兄妹だったから、生まれてきてくれたときとても嬉しくて。ずっと大切に可愛がってきていた。
どんなに私が馬鹿をやらかしても、隼人は私のことを好きでいてくれて、お姉ちゃん思いの優しい子に育ってくれていた。
「A、いるかァ……って、オイ?!」
偶然にも屋敷を訪ねてきた実弥が、膝から崩れ落ち、「姉ちゃんうざいよ」が脳内再生されている私にギョッとしていた。「誰か何かしたのかァ?!」と辺りを見渡し、キレている彼の服を掴む。
ボロボロと涙を浮かべた私を見て、動揺を隠せていない実弥に、「こ、これが俗にいう反抗期、なんですか」と呟いた。
「は?」
「は、隼人に姉ちゃんうざいって言われた…っ」
「………………」
「ねぇ、実弥。私ってうざい?」
ヒック、ヒックと涙を流す私に、実弥は顔を手で覆い、「はァ…」とため息を落とした。恋人にまでため息をつかせてしまった私は一体どうすれば良いのだろうか。
「A、そりゃー隼人もそういう年頃だァ。反抗期なんざ可愛いもんだろォ」
「私のことうざいって!!言ったんですよ?!ただ事じゃない!!」
「落ち着けェ」
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ちい - 最後まで読めて良かったです!お疲れ様でした。とっても素敵な作品でした! (2020年7月15日 11時) (レス) id: 51ace004ba (このIDを非表示/違反報告)
めんま - 完結おめでとうございます!本当にいい作品に出会えて幸せでした!!! (2020年7月13日 21時) (レス) id: c67fb2a2b3 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ごめんなさい。↓↓↓間違えて、2つ書きこんでしまいました。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ベイバの小説からこの小説を発見しました。これも面白かったです。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ベイバの小説からこの小説を発見しました。これも面白かったです。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年6月11日 20時