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ーーー恋人の弟がやけに恋人に甘えている。
「実弥、こんにちは」
「………おう。つーか、どうした」
「あぁ……最近、時々こうして抱きついては離れないんです」
離さないと言わんばかりに、Aの着物を掴んでいる隼人。8歳とはいえ、さすがに重いんですけどねと苦笑いを浮かべている。
だが、本人は溺愛している弟がそうして甘えてくるのが嬉しいのか、顔は完全に緩みきってる。「可愛いでしょ?」とどやさ顔を向けられた。
「そうだなァ」
「ふふっ」
フフッと笑うAの腕の中、隼人がチラリと俺を見た。Aの胸に顔を擦り付け、ニヤリと挑発するように笑う。
いつも俺に懐いている隼人が初めて見せる顔だった。それはまるで姉ちゃんは俺のものだ、と言わんばかりに。たしかに、Aはお前の姉ちゃんだ。だが。
「…………隼人、そろそろAから離れてやれェ。テメェもう8つだろ」
「………嫌だ。姉ちゃんの胸がいい」
「姉ちゃんより俺の胸にこい」
「嫌だ。硬い」
「何言ってるの二人とも」と呑気に笑うAに、「隼人が挑発してくっからよォ」と返せば、隼人がAの胸を触って「こっちの方が柔らかい」と言う。
「最近、ほんと甘えん坊で私困っちゃう」
「困った顔には見えねぇぞ」
彼女の腕の中から隼人を掴み奪い、俺の胸に押し当てる。胸筋に全集中。そうすれば、「うわっ!実弥兄ちゃんの胸硬っ!!」と大暴れする。
てめぇはこれで十分だァ、と暴れまくる隼人を離れないようにガッチリと抱きしめる。そうしていれば、Aは「仲良しっていいことね」とニコリと笑った。
単なるAの奪い合いだ。
暴れまくる隼人を胸に、Aに口づけをする。へへ……と頬を染めるAに、フッと笑っていれば顎にクリティカルヒットした隼人の腕。
「今日二人ともどうしたの?喧嘩なんて普段しないのに……」
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ちい - 最後まで読めて良かったです!お疲れ様でした。とっても素敵な作品でした! (2020年7月15日 11時) (レス) id: 51ace004ba (このIDを非表示/違反報告)
めんま - 完結おめでとうございます!本当にいい作品に出会えて幸せでした!!! (2020年7月13日 21時) (レス) id: c67fb2a2b3 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ごめんなさい。↓↓↓間違えて、2つ書きこんでしまいました。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ベイバの小説からこの小説を発見しました。これも面白かったです。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ベイバの小説からこの小説を発見しました。これも面白かったです。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年6月11日 20時