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「お騒がせしました」
「良かったです。半年分の記憶が戻って」
胡蝶様と冨岡さんに頭を下げてお礼を言った。
私の記憶が半年分なかった間、心配をかけてしまったし、いろいろ手助けをしてくれた。
冨岡さんに、「いつのまにか友人になってたの驚きましたよ」と微笑めば、彼はムフフと笑った。そう私が目を覚まして、記憶が半年間なくなったと分かった時、冨岡さんは友人だと言って実弥を紹介してくれていた。
笑い合っていれば、クスクスと小さな笑い声が聞こえてきた。胡蝶様は笑っていて、「どうかしましたか?」と聞いたが、「不死川さんもAさんのそういうところが愛しくて仕方ないのでしょうね」と答えてくれた。
「ところで、思い出すきっかけはなんだったんですか?典型的な方法として、再び頭をぶつけるなど衝撃があれば思い出すことがあるのですが」
「…………あぁ、それは……」
記憶がなくとも、隼人の遊び相手にもなってくれてたし、それに私を気にかけてくれた実弥にあの時私は恋愛感情を抱いていた。あの日も迎えにきてくれたのが本心嬉しくて、一つの傘という近い距離に何度もドキドキしていた。
決定的に思い出すきっかけになったのは、恐らく私と隼人を守ってくれると言ってくれたから。私自身が、一度実弥の気持ちを知り、自分の気持ちに蓋をして断った後に私に言ってくれた言葉と同じだったからだろう。
実弥と恋仲になる前も、初めてそう言ってもらえて嬉しかったんだ。この人となら、なんて思って感情が溢れ出した。
「…………実弥が私と隼人を守ってくれる、って言ってくれたんです」
「愛されてますね、Aさんも隼人くんも」
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「不死川さんの独占欲もなかなかですね」
「……そうですか?」
「はい。隊服からでも見えてますからね」
「ーーーへ?」
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ちい - 最後まで読めて良かったです!お疲れ様でした。とっても素敵な作品でした! (2020年7月15日 11時) (レス) id: 51ace004ba (このIDを非表示/違反報告)
めんま - 完結おめでとうございます!本当にいい作品に出会えて幸せでした!!! (2020年7月13日 21時) (レス) id: c67fb2a2b3 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ごめんなさい。↓↓↓間違えて、2つ書きこんでしまいました。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ベイバの小説からこの小説を発見しました。これも面白かったです。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ベイバの小説からこの小説を発見しました。これも面白かったです。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年6月11日 20時