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「じゃあ私出掛けるから、お留守番お願いね?」
「うん、任せて!」
まとめた髪に映える綺麗なかんざし。
お洒落である着物に腕を通した私は、街に買い物を兼ねて出掛ける。隼人にはお留守番をしてもらう。お土産買ってくるね、と可愛い弟の頭を撫でて、「いってきます」と外へ出る。
街について、呉服屋さんに立ち入る。
新しい着物の帯が欲しかった。呉服屋の店主に新しいものはないか尋ねると、私に合うものがあると持ってきてくれた。
「綺麗」
「だろう?Aちゃんに似合うと思ってねえ」
「これ……貰えますか?」
包んでもらったそれをお金と交換して、呉服屋を後にする。久しぶりの町だから、少し探索して帰ろうと街を見て回っていると甘味屋が目に入る。
そこに立ち寄って、「おはぎ、ください」と気づけば頼んでいた。受け取った後、立ち止まってはなんで買ったのだろうかとふと思った。隼人はもちろん、私も、甘いものは好まない。
だが、すぐに両親に供えるために買ったんだと思い返し、あゆみを進めた。そうしていれば、頭に落ちてきた雨粒に、あれ?と空を見上げる。
どんよりとした雲から落ちてくる雫が目に入っては、涙のように流れていく。慌てて、屋根のあるお店で雨宿りをさせてもらった。雨が降るなんて出掛ける前に気づけば傘を持ってきていたんだけどなぁ。
だけど、こんな日もまたにはいいかな、って。
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ちい - 最後まで読めて良かったです!お疲れ様でした。とっても素敵な作品でした! (2020年7月15日 11時) (レス) id: 51ace004ba (このIDを非表示/違反報告)
めんま - 完結おめでとうございます!本当にいい作品に出会えて幸せでした!!! (2020年7月13日 21時) (レス) id: c67fb2a2b3 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ごめんなさい。↓↓↓間違えて、2つ書きこんでしまいました。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ベイバの小説からこの小説を発見しました。これも面白かったです。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ベイバの小説からこの小説を発見しました。これも面白かったです。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年6月11日 20時