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「久しぶりにご飯食べに行くと美味しいね」
「あァ」
あの後、ご飯を食べに実弥が連れて行ってくれた。よく行っていたあの食事処だ。実弥と恋仲になってからは、行くことが少なくなっていたから久しぶりに足を運べば、店主が嬉しそうにしていた。
『やっぱり三人で来たときにお似合いだと思ってたのよ』
『Aちゃん取られて、隼人のやつ嫉妬してねぇか?』
なんて食事処のご夫婦に言われて、改めて実弥と恋仲なんだなぁって自覚する。
屋敷について、部屋に行けばそこには何やら文が置いてあった。なんだろうと手を伸ばし、中を見れば隼人からで。
誕生日のお祝いの言葉や日頃の感謝など、いろいろ書かれてあって、思わず。
「………うぅっ」
「オイオイ」
泣いてしまった。
そんな私に呆れつつも頭を撫でる彼に「下の子たちってなんでこんなに尊いんでしょう」と呟く。小さな子供たちの健やかな未来のためにも、危害を加える鬼たちを早く倒さなければ、そう改めて思わされた。
そして、改まった実弥が私の手を取り、指に赤い糸を巻きつけた。まるで運命の赤い糸みたいだ。まあ彼はそんなことを信じるような人ではないけれど。
「改めてよ、Aがどれほど俺にとっていい女かわかったからよ」
「……うん?」
「もっかい言っとくわァ」
私が好きな実弥の瞳。
その瞳に映り込む私は、幸せそうだった。
「鬼舞辻を倒すのに何年かかるかわからねぇ。けど、必ず生きてAと隼人を俺が守る。何年かかろうとも俺の心はA、お前にあるってこと忘れんなァ」
「はい、もちろんです」
「だから、いつか鬼のいない平和な世の中になったら、俺と夫婦になってくれ」
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ーーー幸せだ、この人にこんなにも愛されて。
だから、いつか壊れそうな時が来そうで怖かった。
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ちい - 最後まで読めて良かったです!お疲れ様でした。とっても素敵な作品でした! (2020年7月15日 11時) (レス) id: 51ace004ba (このIDを非表示/違反報告)
めんま - 完結おめでとうございます!本当にいい作品に出会えて幸せでした!!! (2020年7月13日 21時) (レス) id: c67fb2a2b3 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ごめんなさい。↓↓↓間違えて、2つ書きこんでしまいました。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ベイバの小説からこの小説を発見しました。これも面白かったです。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ベイバの小説からこの小説を発見しました。これも面白かったです。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年6月11日 20時