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※一部ネタバレ含みます※
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実弥は過去について全部話してくれた。
家族にあった悲劇、そして生き残った最愛の弟、玄弥くんに対しての愛情。
「お前の過去は知ってて、俺の過去は知らねぇのは平等じゃねぇしなァ。いつかは話さねぇととは思ってたんだァ」
親を殺された私たち兄弟。隼人の幸せを願い、遠くにいる親戚にあの子だけでも引き取ってもらえないか尋ね回っていた。隼人にそのことを知られ、涙を堪え切れず泣いてしまったあの日。
背中を向けて私の話を聞いてくれていた実弥に話した。
自分の人生、親を殺されてしまったことは悲劇だと思っていたけれど、私以上に彼は傷ついていた。母親が鬼となり、家族を襲った。玄弥くんを守りたいが故に、母親を殺してしまったこと。
実弥は話してくれている時、すごく震えていた。
玄弥くんの幸せと未来を守りたかったのに、彼は同じ鬼殺隊の剣士になってしまったと。
「俺は自分の人生において、もう誰か一人を愛することなんざ諦めてた。お袋を殺してしまったこの手で、女を抱きしめてやれねぇって思ってたからなァ」
「なのに、お前が現れた」そう口にした実弥を私は抱きしめていた。どうして彼はこんなに優しいんだろう。自分は幸せになってはならないと決めつけていたんだ。
「………てめぇのせいで、女を愛することを覚えちまった。こんなにも人を愛したのはA、てめぇが初めてだァ」
「実弥だって、幸せになっていいんだよ」
あぁ、なんて尊く、愛おしい人なんだろう。
初めて泣きそうな顔を見た。抱きしめていた体を離し、「私は生きている限り、実弥を全力で愛するよ」と接吻をする。
「お前がいると、俺は本当にただの男になっちまうなァ」
「…………っ」
「A、精々するほど愛してらァ」
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ちい - 最後まで読めて良かったです!お疲れ様でした。とっても素敵な作品でした! (2020年7月15日 11時) (レス) id: 51ace004ba (このIDを非表示/違反報告)
めんま - 完結おめでとうございます!本当にいい作品に出会えて幸せでした!!! (2020年7月13日 21時) (レス) id: c67fb2a2b3 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ごめんなさい。↓↓↓間違えて、2つ書きこんでしまいました。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ベイバの小説からこの小説を発見しました。これも面白かったです。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ベイバの小説からこの小説を発見しました。これも面白かったです。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年6月11日 20時