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隼人の部屋で衣替えのしていた。
押入れの奥底に眠っているのは、まだ父や母が生きていた頃、そう隼人がまだ小さかった時の着物だ。
「あぁ、小ちゃい……」
それを広げては、あの頃の隼人も可愛かったなぁと感慨深くなる。今の隼人と比べてまだ小さくて、私の後をよくついて来ていた。
成長したんだ、とハラリと涙を流す。
こんなところを隼人に見られたら「弟離れして!」と怒られてしまうだろう。ふーっと深呼吸をして、再び中にしまう。
今季用の着物を出して、最近きつくなったという着物をしまう。よし、と腰を上げて、縁側への廊下を歩いていれば何やら話し声が聞こえて来た。
「実弥!それと冨岡さんまで」
珍しい組み合わせだ。
声をかければ、二人同時に振り返る。
2週間ぶりに会った実弥に「久しぶり」といえば、彼は数秒私を見つめた後、抱き寄せた。ハァァァと大きなため息を吐いた彼に「どうしたの?」と聞く。
「会いたかったァ」
「私も会いたかった」
体が離れた後、微笑めば、彼もまた表情を穏やかにさせた。そんな私と実弥を見ていた冨岡さんが「不死川はAの前では顔が変わるな」と一言。
冨岡さんにつかみかかる実弥を宥めつつ、「今日は珍しい組み合わせだね」と呟く。そして後一言添えた。
「二人ともいつのまにか仲良くなったんだね。私嬉しい、実弥」
「……………」
ニコニコと笑顔を浮かべれば、実弥の顔が真っ青になった。そしてその隣にいる冨岡さんが「ムフフ」と笑う。
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ちい - 最後まで読めて良かったです!お疲れ様でした。とっても素敵な作品でした! (2020年7月15日 11時) (レス) id: 51ace004ba (このIDを非表示/違反報告)
めんま - 完結おめでとうございます!本当にいい作品に出会えて幸せでした!!! (2020年7月13日 21時) (レス) id: c67fb2a2b3 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ごめんなさい。↓↓↓間違えて、2つ書きこんでしまいました。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ベイバの小説からこの小説を発見しました。これも面白かったです。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
らはさ - ベイバの小説からこの小説を発見しました。これも面白かったです。 (2020年7月13日 20時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年6月11日 20時