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自分が見た夢に悪態をつく彼に、「大丈夫ですよ」と笑顔を浮かべる。煮詰まった煮物を箸で掴み、「味見、しますか?」と彼の口に運ぶ。
あむっと食べる実弥は「ん、美味ェ」と頬をあげる。
良かった、とにこりとすれば、実弥が頬に触れる。
少し腫れてんなァ、と下瞼に指を伝わせる。そこがくすぐったくて目をぎゅっと瞑った。
「………姉ちゃん……実弥兄ちゃん……おはよう……」
……とそこで目を開ければ、すぐ目の前に実弥の顔があった。そして隼人の声ですぐに離れ、私は「お、おはよう」と隼人のところに行く。まだ寝足りないと言った隼人に顔を洗って着替えておいでと洗面所へ行くよう促す。
隼人が顔を洗いに行き、ちょっとした沈黙に二人して笑うとまたご飯の用意を再開する。隣に立つ実弥は「俺も手伝う」と言って手伝ってくれた。
やっぱり、家族の長男だったこともあり手つきがいい。
人参をねじり梅に切る実弥を見て、「私より手先器用だね」と溢す。私は普通に切ることしか出来ない。
「死んだ妹が風邪だったときに作った粥に入れてたら喜んでたわァ」と昔を懐かしむ彼に「家族想いのいいお兄ちゃんですね」と呟いた。
「いつか鬼が居なくなった世界で、また笑い合えるといいですね」
「…………そうだなァ……そう願うばかりだ……」
豆腐を切り分けて、上に肉味噌のそぼろをかける。出来た、と器に盛り付けた朝食を居間に持っていき、三人で食卓を囲んだ。
「ーーーいただきます」
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そちゃ(プロフ) - コメント失礼致します。不死川さんのお話、全て読ませて頂いてます!本当にいつも素敵なお話を書いてくださり、ありがとうございます。リクエストで怖い風柱に彼女がいて周りが驚いてるシーンとか見たいです!無理なさらず、更新頑張ってください!応援しています! (2020年6月7日 7時) (レス) id: 55966089fd (このIDを非表示/違反報告)
菜一郎(プロフ) - はあ…天に召されそうだ。 (2020年6月5日 13時) (レス) id: 2c549b1da3 (このIDを非表示/違反報告)
きりまる(プロフ) - コメント失礼致します!いつも読ませて頂いております!顔のニヤケが止まりません!更新、頑張って下さい!!! (2020年5月30日 17時) (レス) id: a5f16a2551 (このIDを非表示/違反報告)
えへへ - うあー好きすぎる!甘風柱さん最高です!ご都合血鬼術、風柱さんがかかってしまうやつを読んでみたいです!いつも素敵な作品をありがとうございます! (2020年5月29日 21時) (レス) id: 29ed1ff5eb (このIDを非表示/違反報告)
smile0312(プロフ) - 続編おめでとうございます!私も補導されたいです-_-bリクエストで弟くんと不死川さんを取り合うとかその逆とか見たいです^_^! (2020年5月29日 19時) (レス) id: 604129552a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年5月29日 19時