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「……さね、不死川さん。ごめんなさい、私少しアオイちゃんに用があるので、ここで」
「……後で屋敷行くからなァ」
「そ、それはここで言わないでください!」
離れていくAの腕を掴み、そう伝える。頭を撫でてやりてぇが、怪我しているので抱きしめる。そうすれば顔を真っ赤にしてそんなことを喚いた。
もう柱は全員知っていることなのに、なにを隠す必要があるのか。部屋から出て行くAを見届けた後、スッと顔を胡蝶らに向ければ胡蝶がニコリと笑っていた。冨岡はいつも通りのポーカーフェイス。
「不死川も男だったんだな」
「うるせぇ、殺すぞてめぇ」
Aの温もりが残る手のひらを握りしめ、「帰る」ときびすを返す。そうすると、冨岡が俺を呼び止めた。
「俺はお前と仲良くなりい」と一言言った冨岡に日輪刀を抜いて斬りかかろうとすれば、胡蝶に止められる。
「それよりも、不死川」
「まだあんのかァ?!まじでぶち殺すぞォ…」
「風門の頭の怪我は任務で負ったものじゃない」
部屋の出入り口に向かって歩いていた俺は歩みを止めて、振り返った。アイツは俺に、任務でヘマをして怪我したと言っていた。なのに、どうしてコイツが怪我の原因を知ってんだァ。
冨岡は「風門は相変わらず弟思いだな」と言っては、アイツが今回任務に一緒についていた男に突き飛ばされて怪我したものだと教えてくれた。
「普段心優しい風門が弟を道具みたいに言うなと声を荒げていたぐらいだ」
「…………どこのどいつだァその隊士はァ」
ブチッと何かが切れる。
アイツが一番大切にしている弟を侮辱し、ましてアイツまで傷つけたやがった。「不死川さん」と胡蝶の声に、奴をみれば、ニコリとしているものの目は笑っていなかった。
「男女間での問題とはいえ、仲間を傷つけたこと、対律違反です。彼にはしっかりと反省してもらいましょう。だから、不死川さん貴方は大人しくしててください。貴方まで対律違反を犯してはAさんが悲しみます」
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そちゃ(プロフ) - コメント失礼致します。不死川さんのお話、全て読ませて頂いてます!本当にいつも素敵なお話を書いてくださり、ありがとうございます。リクエストで怖い風柱に彼女がいて周りが驚いてるシーンとか見たいです!無理なさらず、更新頑張ってください!応援しています! (2020年6月7日 7時) (レス) id: 55966089fd (このIDを非表示/違反報告)
菜一郎(プロフ) - はあ…天に召されそうだ。 (2020年6月5日 13時) (レス) id: 2c549b1da3 (このIDを非表示/違反報告)
きりまる(プロフ) - コメント失礼致します!いつも読ませて頂いております!顔のニヤケが止まりません!更新、頑張って下さい!!! (2020年5月30日 17時) (レス) id: a5f16a2551 (このIDを非表示/違反報告)
えへへ - うあー好きすぎる!甘風柱さん最高です!ご都合血鬼術、風柱さんがかかってしまうやつを読んでみたいです!いつも素敵な作品をありがとうございます! (2020年5月29日 21時) (レス) id: 29ed1ff5eb (このIDを非表示/違反報告)
smile0312(プロフ) - 続編おめでとうございます!私も補導されたいです-_-bリクエストで弟くんと不死川さんを取り合うとかその逆とか見たいです^_^! (2020年5月29日 19時) (レス) id: 604129552a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年5月29日 19時